うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 6ー

今回は同テーマの第6弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

【K:2種類の同じ系統の薬とその他の薬の場合】

これはメジャートランキライザー2種類と抗うつ薬1種類、2種類の抗うつ薬と1種類の抗不安薬などといった組み合わせを考えるということです。

この場合まず目指すのは、2種類の同じ系統の薬を1種類にすることです。問題はその2種のうちどちらをなくしていくかという選択になります。私流では抜きやすいものを後に残していくというのが基本になります。これもまた絶対ではありません。先に抜きやすいものを抜いたほうが安全だという意見があるかもしれません。それは一理あります。ただ同系統の薬の場合、作用する地点が近いので、比較的抜きにくい薬でも抜きやすいことがあります。

要するに代用品があるうちに難しいものを抜ければ、と考えるのです。ここではロドピン、コントミン、メイラックスという組み合わせで検討してみましょう。

 

<ロドピン200㎎+コントミン50㎎+メイラックス0・8㎎の場合>

まず同系統の薬を見比べ、どちらの量が多いか、どちらが抜きにくいかを比較する必要があります。

私の印象としてはロドピンのほうが抜きづらく(99頁参照)、かつCP換算値で評価しても多いと考えられます。よってロドピンを先に抜きます。ここでも目先にこだわってはいけません。そうすれば抜きやすいほうから抜きたくなってしまいますが、薬の種類が多いほうが、難しい薬は抜きやすいのです。薬の量が減ってきたときに、できるだけ抜きやすい薬を残しておく、これは基本方針として大事なことです。

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ロドピンの量が減ってくれば減薬量も加減します。そして最後はメジャートランキライザー+抗不安薬の2種類を目指します。途中禁断症状の悪化などが見られる場合は、減薬を中止するなど様子を見ることも必要です。この処方が達成できれば、前出した2種類の処方の抜き方を参考にします。

 

【L:2種類の同じ系統の薬+2種類の別系統の薬+その他の薬の場合】

このような処方形態になってくると、どれを最初に減らすべきか悩むことがあります。

しかし原則としてはこれまで挙げたとおりです。それは、

・2種類以上のものを1種類に統一する。

・減らしづらいものを途中で抜いて、最後に抜くものは害が出にくいもの(抗うつ薬で害が出にくいものや抗不安薬や睡眠薬など)にする。

・相互作用を出しやすい薬は早めに抜く。

ここでは処方の一例としてエビリファイ、リスパダール、ルボックス、レスリン、レンドルミンという処方を参考に検討しましょう。

 

<エビリファイ12㎎+リスパダール2㎎+ルボックス50㎎+レスリン50㎎+レンドルミン0・25㎎の場合>

まずは相互作用が強い薬と抜きづらくハイテンションにさせる薬から抜いていきます。つまり、最初に抜いていきたい薬の候補はルボックスとエビリファイになります。

ルボックスは前出したデプロメールと同じで、各方面への相互作用が強くハイテンションにする作用があるので、自傷他害を起こしやすい薬です。

またエビリファイは抗精神病薬ですが特殊な構造であり、覚醒剤に近い作用を持っています。ハイテンションにしたり不眠にしたり、脳のレセプターへの作用が強いという面もあります。そのためこの二つをターゲットにします。

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レスリンは睡眠薬に近い抗うつ薬で抜きやすいタイプでもあるので、この場合は抗精神病薬より後回しにします。薬の量が多いときは、単剤時より若干減らす量は多めにしてかまいません。

次にリスパダールを中心に減らします。なぜならリスパダールのほうがレスリンやレンドルミンより抜きづらい薬だからです。途中で一時的に他の処方を減らしてもかまいません。

そしてレスリンとレンドルミンの2種類を目指し、これまでの2種類の減らし方を参考にゼロを目指します。

必要であれば、一時リスパダールから離れてレスリンを減らしたりします。

しかし基本はまずリスパダールゼロを目指し、ここから単剤のリスパダール減量法を参考に減らします。

2種類の処方を達成することができれば、2種類処方の項を参考にしてゼロを目指します。

 

以上、抜粋終わり

減薬や断薬にあたって、

知識を得ること、

目標を持つことは大事です。

それに加えて潜在意識の力を使うと、

より強力になります。

具体的に言うと、

最終ゴールの断薬をした時のイメージを明確にしていくことです。

つまり断薬をしてどうなりたいのかをイメージすることです。

最初はぼんやりとしていてできないかもしれませんが、

最初から完璧なイメージをする必要はありません。

できるイメージからしていき、

毎日しているうちに、

段々とイメージが明確化されてきます。

明確化されれば、

それを更に強く意識して、

毎日繰り返しイメージすれば、

潜在意識に刷り込むことができます。

潜在意識が働き出せば、

あとは勝手に思考や行動がついてきます。

そうすることによって、

成功率が格段にあがります。

騙されたと思って、

試してみてください。

必ずあなたの強い味方となります。

 

 

うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 5ー

今回は同テーマの第5弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

【I:抗うつ薬+抗不安薬(またはムードスタビライザー)+睡眠薬の場合】

おそらく日本において最も多く出されるパターンではないでしょうか?

気分を上げながら不安も抑え、寝ることにも貢献していると言い張るわけです。しかしこの処方をされた瞬間に、精神医療地獄から逃れることはできません。その概要はこれまでにも説明してきましたが、より深く理解されることを願います。

相互作用については抗うつ薬+抗不安薬(またはムードスタビライザー)と大きな違いはありません。ただこのように種類が増えてくると、どれを優先的に減らしていくかはやはり考えなければいけません。

私流では抗うつ薬から減らしていきます。抗うつ薬の計算できない相互作用と、アクチべーションシンドロームや禁断症状に伴う自傷他害行為を早めに抑えることから、そうすることが多いです。これには正解はないと思いますが、基本としては2種類の項で述べた考え方に近いです。ベンゾ系の依存は重要ではないかという人もいるでしょうし、それはそれで一理あります。

しかしこの3種の場合、私が強く推奨したいことは、抗うつ薬から抜くにしろ抗不安薬から抜くにしろ、最後は睡眠薬が残るように調整してもらいたいということです。睡眠薬だけになれば、禁断症状の多くは睡眠に限定されたものになりやすくなります。また途中でも睡眠がとれないよりはとれたほうが好都合です。いずれ禁断症状で眠れない時期はくるかもしれませんが、抗うつ薬と抗不安薬を抜く補助としての意味も込めて、睡眠薬が残るように努力してもらえればと思います。

ここでは抜きづらいもう一つの抗うつ薬であるサインパルタ、比較的抜きやすいベンゾ系薬のワイパックス、睡眠薬としては強力な部類に入るサイレースを例に出して検討します。

 

〈サインパルタ40㎎+ウイバックス1・5㎎+サイレース2㎎の場合〉

サインパルタはカプセル剤で、パキシルのように減らしづらい抗うつ薬であることを理解します。カプセルで調節しづらいことも抜きにくい要因の一つです。20㎎と30㎎のカプセルがありますので、これを活用することから始めます。

まずサインバルクの最低カプセル量を目指します。しかしこの20㎎を一気になくすのはなかなか困難です。よって自己調節するよりほかありません。具体的にはカプセルを開いて、中に入っている粉の量を調節します。正確に測るのは難しいですが、目分量で 5㎎程度ずつ減らすことを目標にします。粉を調節したらできるだけカプセルに戻します。これは40㎎から50㎎に減らすときも、禁断症状が強い場合は実行してください。つまり、40㎎→35㎎→30㎎とすることもありえます。サインパルタは副作用がとても強いためにカプセル化されているという事情もあるのです。

このように調整しながら途中でサインパルタを減らすのを休んだほうがいいと感じた場合、ウイパックスなどの減量に移行することもあります。

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ワイパックスを減らさずにサインパルタをゼロにするのももちろん一法ですが、少し減らしておいたほうが後がやりやすいかもしれませんし、交互に進む時期があったほうが、やはり抜きやすい印象があります。

このようなやり方で、ワイパックス0・75㎎(朝0・25㎎→昼0・25㎎→夜0・25㎎) +サイレース2㎎になった場合、ワイパックスを基準に減らしていきます。ここでも途中でサイレースを少し減らしたほうが、後がやりやすいかもしれません。

睡眠薬のみとなれば、この先は単剤の原則にしたがって、不眠の度合いと相談しながらサイレースゼロを目指してもらえばよいわけです。

 

【J:メジャートランキライザー+抗パーキンソン病薬+抗不安薬の場合】

基本はメジャートランキライザー+抗不安薬と同じですが、ここでは抗パ剤について書くことにします。

副作用止めとしてメジャートランキライザーに抗パ剤が出されるのはよくあることですが、これがさまざまな副作用や後遺症を残すのはあまり知られていません。よってこの減らし方も重要ですが、基本はメジャートランキライザーの量に準じて減らすことです。

ここではセレネース、タスモリン、リボトリールという組み合わせについて検討します。

<セレネース12㎎+タスモリン3㎎+リボトリール1・5㎎の場合>

この処方を見ただけで、おそらくセレネースの副作用による錐体外路症状が強く、それを無理に抑えるため抗パ剤が加えられ、ベンゾ系の中でもアカシジアなどを抑える効果があるリボトリールが足されているのだと理解します。そういうことが頭に出てこない場合、まだ理解が浅く勉強が足りないと考えてください。そして、その勉強が足りないかぎり向精神薬をやめることはできません。

最初はまずセレネースを減らしていきます。そして錐体外路症状がどの程度なのかを把握することが重要です。ここは主観になりますが、それほど強くないとするなら抗パ剤は早めに減らしてかまいません。

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逆に強く出ているととらえるなら、メジャートランキライザーがなくなるぎりぎりまで抗パ剤は残したほうがいいでしょう。ここでは後者であると仮定して減らし方を検討します。

セレネースを1・5㎎ずつ減らせたとします。そして錐体外路症状がやや軽減されてきたとすれば、そこでタスモリンを減らします。

セレネースを減らすときの後半の量は、もう少し小刻みであってもかまいません。この場合リボトリール(ベンゾ系)のみが残ることになりますが、途中一時的に減らしてもかまいません。しかしベンゾ系をゼロにすることはないようにして、メジャートランキライザーと抗パ剤をやめることを優先します。ベンゾ系のみとなれば、単剤の減らし方を参考にしてゼロを目指します。

 

以上、抜粋終わり

減薬についてまだまだ続きます。

上記の著者も言ってますが、

答えはありません。

ですので、

これを参考に自分なりにアレンジしてください。

減薬や断薬を行うときに、

理解ある医師が一緒であればいいのですが・・・

うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 4ー

今回は同テーマの第4弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

【G:メジャートランキライザー+抗不安薬またはムードスタビライザーの場合】

それぞれに直接的な阻害作用はあまりありません。とはいえ同じ代謝酵素の薬剤であれば、分解が遅くなるので注意する必要があります。逆にムードスタビライザーや抗てんかん薬の一部には誘導作用といって、分解を促進するものがあるので注意しましょう。ここではそのすべてを説明するのは困難なので、オーソドックスなメジャートランキライザー+抗不安薬の処方について考えます。

まずどちらを抜いていくべきかを考えますが、これは薬物作用も大事ですが、ここでも最初に精神科にかかったときにどのような症状だったかを思い出してもらう必要があります。

最初の症状が神経症的な症状だった場合は、早めにメジャートランキライザーをやめ、抗不安薬が残るようにしましょう。逆に最初から幻覚や錯乱など強い症状があったのなら、メジャートランキライザーがぎりぎりまで残るようにしなから、ベンゾ系の単剤化を目指します。

また交互に減らすのか、片方を一気に減らすのか、ということを疑問に思う方が多いようですが、できれば交互に減らしながらのほうがいいと思います。ただ必ずどちらかは残るので、前述したわけです。

ここではこれまで出したジプレキサとリスパダール以外のメジャートランキライザーとして、セロクエル、抗不安薬はデパス以外のものとしてソラナックスを例に挙げて説明したいと思います。

 

〈セロクエル300㎎+ソラナックス1・2㎎の場合〉

最初はセロクエルを抜いていきます。減らす量が多いと感じれば25㎎ずつなどに調節していき、まずは1日50㎎ずつ100㎎を目指します。

150㎎になったところでセロクエルからソラナックスにうつり、減薬していきます。

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この下げ幅で禁断症状が強い場合は、当事者と相談して量を調節していきます。

それからまたセロクエルに戻ります。私流では100㎎を目安にして戻りますが、この方法が絶対ではありません。またFのパターンにもあるように、元々の症状が精神病的だったか神経症的だったかで方針を変えます。

神経症的ならセロクエルを優先的に減らし、ソラナックスを残していきます。ソラナックスのみとなれば単剤の減薬と同じ要領で進めてもらえれば結構です。

精神病的なら慎重に相互を減らしていきます。当事者の感覚も参考にして交互に減らしていきながらベンゾ系の単剤を目指します。ここでスピードを緩めてもかまいません。セロクエル87・5㎎+ソラナックス0・6㎎で2週間から4週間などとし、同時くらいに両方がゼロになるように目指します。

 

【H:抗うつ薬+抗不安薬の場合】

メジャートランキライザー+抗うつ薬の項でも説明したように、抗うつ薬は多くの向精神薬代謝を阻害します。これは抗不安薬も例外ではありません。ただ危険性や後遺症という点においては、メジャートランキライザー+抗うつ薬よりはましです。もちろん個人差はありますが、抗うつ薬+抗不安薬の組み合わせは、禁断症状は強くても会話が成り立たないなどの症状は少なく、自覚や認識は保たれながら禁断症状が出現してくる薬です(もちろん抗うつ薬が多いときは成り立ちませんが)。

だからしっかりと勉強し認識を強固にすれば、この処方は必ずやめることができます。これはメジャートランキライザーとの大きな違いと言えるかもしれません。

ここではジェイゾロフトとレキソタンを例にとって説明していきたいと思います。

 

〈ジェイゾロフト100㎎+レキソタン6㎎の場合〉

ここでも相互作用を呈しやすいのは抗うつ薬です。

ジェイゾロフトもパキシルやルボックス(またはデブロメール)ほどではありませんが、相互作用で他の薬の代謝を阻害します。そのため、私流ではジェイゾロフトから減らしてゼロを目指します。ずっとジェイゾロフトばかり減らす必要はありません。当事者の様子や禁断症状の具合に応じて、レキソタンを一時減らしてもかまいません。その原則にしたがって、まずレキソタンの単剤化を目指します。

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ジェイゾロフトゼロを目指せそうならそうしてもかまいませんし、一度レキソタンにうつってもかまいません。個人的にはずっと一つの薬を減らすより、交互に進んだほうが成功率が高い印象があります。

繰り返しますが、必ずこの量で減らさないといけないわけではありません。当事者の感覚に沿って減薬量と期間を決めます。

以上、抜粋終わり

いかがでしょうか?

減薬は量など個人差があるので、

自分の適量を確認しながら、

急がずにじっくりと進めてください。

焦らないでくださいね。

 

うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 3ー

今回はこのテーマの第3弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

【E‥ロヒプノール2㎎を飲んでいる場合】

ロヒプノールはベンゾ系睡眠薬の中でも強力な部類でありながら、よく処方されている睡眠薬でもあります。分類としては中時間型になりますが、一、二を争う強力さと依存性を持ち合わせています。アメリカでは持ち込みが禁止されているほどです。

睡眠薬にもベンゾ系に共通した禁断症状や後遺症はありますが、それでも睡眠薬であることを考慮すれば、やはり唯一と言っていいくらい強力な禁断症状が不眠です。

これは医学的にも反跳性不眠という言葉を使います。よって不眠とどう向き合うかが睡眠薬を抜くうえでは重要になります。また睡眠薬は減薬していくうえで最後に残りやすい薬です。その意味でも睡眠薬をどうやって抜いていくか、考察することは重要です。

やり方は大きく二つに分かれます。一つはオーソドックスなやり方ですが、2㎎で2 週間、その後1・5㎎で2週間、その後は1㎎→0・5㎎、そしてゼロと進む方法です。強い禁断症状がなければこれを早めてもかまいません。

問題はなかなかやめられないときです。この場合、より細かく分割して減らしていくことになります。

たとえば「やすり」などで何十分の一というレベルで少しずつ削っていきます。このほうが最も主である禁断症状の不眠は出にくいのですが、時間がかかるのか難点です。それぞれの利点と欠点を考えたうえで選択してください。

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これは睡眠薬だけに言えることではありませんが、本当に薬を抜きたいのであれば、「不眠になるのは嫌」と考えながら減薬することはやめるべきです。「抜いているんだから眠れなくて当たり前」という感覚でいましょう。

向精神薬はそもそもが麻薬などと変わりなく、それを抜くことには多大なリスクが生じることをここでも思い出しましょう。

 

②多剤の場合

【F‥メジャートランキライザー+抗うつ薬の場合】

この組み合わせは非常にひどい処方ですが、精神医学の世界では横行しています。素人が考えても、テンションアップ糸とテンションダウン系の薬を同時に出すなど理解に苦しみませんか?

それだけでなく、この組み合わせには代謝酵素の問題が関係してきます。 いわゆるCYPと呼ばれる薬物代謝酵素の問題です。CYPについてこの本で書くのは無理があるので、詳細は専門書に譲るよりありませんが、要するに薬をたくさん飲むと分解されにくくなったり、ある薬が別の薬の代謝を邪魔したり、分解してしまったりするのです。

これの何が問題かというと、特に阻害(邪魔)するような組み合わせの場合、分解されないので、薬物の濃度が飲んでいる量の何倍にもなってしまうことがありうるのです。そしてそのような組み合わせで最も悪評高いと言われているのか、通称「ジプデプ処方」、つまりジプレギザとデブロメール(またはルボックス)です。またパキシルとリスパダールの組み合わせも危険と言われています。

 

抗うつ薬の多く、特にSSRIは他の向精神薬の代謝を阻害します。最も阻害するのがデブロメール(またはルボックス)で、もう一つがパキシルです。しかし他のSSRIや抗うつ薬にも阻害作用があります。これらを考慮して減薬の作戦を立てねばなりません。次はいわゆるジプデプ処方を例に出して検討します。ここでも減らし方に絶対はありません。

 

<ジプレキサ10㎎+デブロメール100㎎の場合>

まず処方薬を飲んでいる患者さんの最初の症状に着目します。最初に精神科にかかったときの症状です。

これが神経症的な症状(不安や強迫観念やうつや不眠など)であるなら、ジプレギサとデブロメールはある程度協調性をもたせながら抜いていきます(a)。しかし最初の症状が精神疾患的症状(幻覚や疾患錯乱状態など)であったなら、ジプレキサを少し残すように抜いていきます(b)。ここでジプレキサを残す理由は、この薬が悪い薬であっても、無理やり精神病的症状を鎮静させる作用があるからです。もちろんやめることを目標に行っていきますが、最初に出た症状が出る可能性を考慮して抜いていきます。

bの場合、ジプレキサ5㎎程度のときには、デブロメールはなくなっているでしょう。 逆にでaあれば、ジプレギザが2㎎とか1㎎のレベルくらいまで、デブロメールが残っているように調整して抜きます。これは必ずこのとおりでなければいけないわけではありません。ハイテンションになるのか怖い病歴であれば、優先してデブロメールを先に抜いてしまうこともあります。あくまでも原則的な私流であることをご理解ください。

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また経過はいかなるものであれ、デブロメールは相互作用に重要な影響を与えますので、できるかぎり先に抜くのは共通します。そして相互作用がない状態に達してから、単剤の抜き方にあるように、ジプレキサを抜いていく、これが基本的なやり方になります。

 

以上、抜粋終わり

参考になっているでしょうか?

次回も続きます。

うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 2ー

今回は同テーマの第2弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

【B:リスパダール6㎎(CP換算600)を飲んでいる場合】

リスパダールには類似品としてインヴェガという薬がありますが、インヴェガの場合はリスパダールに置換してから減らしていくことが肝要です。この場合も過鎮静であるか否かにより速度が少し異なります。 過鎮静であれば6㎎→5㎎→4㎎というように比較的急速に、2週間から4週間単位で減らしてください。過鎮静でないのなら6㎎→5・5㎎→5㎎→4・5㎎というふうに4㎎まで進めます。飲む前の症状や現在の安定度と鑑みながら、減らす量を変更することも当然ありえます。

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4㎎より先は0・5㎎ずつ減らしたほうが無難です。これでも強い禁断症状が出てしまう場合は、もっと小刻みに減量することもあります。

次に目指すのはCP200であるリスパダール2㎎です。ここまで到達できたら、そこから先はさらに小刻みに進んだほうがよいでしょう。ジプレキサ細粒と同様、リスパダール細粒などを使って、0・1㎎〜0・25㎎程度ずつ減らしていきます。錠剤しか使えないなら0・25㎎ずつ調節するしかないでしょう。期間はこれまでと同様です。

 

【C‥パキシル40㎎を飲んでいる場合】

パキシルはSSRIの中では最も悪名高き抗うつ薬だと思われます。と同時に、かなり抜きづらい薬でもあります。パキシルを出されていること自体が、「精神科から抜け出せなくしよう」という意図だと読み取ってもいいでしょう。パキシルは飲むと事件や自傷、他害を起こす困った薬ですが、動かしたとき減らしたときにもそれらを起こします。

これは他の薬にも言えることですが、パキシルやジプレキサは特にそういうことが多いと頭に叩き込んでください。パキシルの薬理機序(薬物が生体に何らかの効果を及ぼす仕組み、メカニズムなど)はここでは詳しく説明しませんが、量が多いほど2次曲線のように副作用や有害事象をもたらす構造をしています。つまりこれを抜くときの知識で考えれば、最初の多いとさほど少なめに抜くことが求められるということです。

たとえばパキシル40㎎の場合、最初に10㎎減らそうと思ってもなかなかうまくいきません。もちろん個人の希望にもよりますので絶対ではありませんが。ただ最高量でも5 ㎎、慎重にいきたいなら2・5㎎ずつ減らしてください。まずは20㎎を目指すのは他の薬と同じ要領です。

20㎎になった場合、そのまま2・5㎎〜5㎎ずつ減らすか、より小刻みにいくかはいまだ正解はわかりません。パキシルには細粒がありませんので、より小刻みでいく場合 は1㎎くらいを基本として、2週間から4週間ごとに減らしてください。

ただ私の場合は、減ってきたときはそのペースを維持するように努力しています。これはメジャートランキライザーであるジプレギサやリスパダールとは大きく異なります。

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これは薬剤の質によるものです。

パキシルの特殊な代謝にも関係はしますが、抗うつ薬は多いときほどハイテンションになったり自我が崩壊しやすいのです。これはメジャートランキライザーが多いときは過鎮静でロボットのようになり、減ってきたときに過鎮静が解け暴発するのとは少し違います。

基本コンセプトとして、パキシルは最初の減らし方や量の多いときに注意してください。逆にメジャートランキライザーは少なくなってきたときが要注意です。

 

【D‥デパス1・5㎎を飲んでいる場合】

デパスは私が感じているかぎり、最も依存しやすく、麻薬に近いベンゾ系というイメージです。

知識もなく依存しやすい性格の人がこれを使いたすと、まずやめることができません。あっという間に1日量5㎎や6㎎に達する人も少なくありません。短時間作用型なので、薬が切れてくる感覚がとてもわかりやすいベンゾ系でもあります。

デパスを睡眠薬に使うことが精神医学を中心にあるようですが、愚か極まりない話でしかありません。飲むことで途中覚醒が増したりもしますし、酒を大量に飲んで寝るのとレベルは変わらないのです。ヤク中になりたいのが日本人のサガ、その「ヤク」の代名詞がデパスと言えるかもしれません。 さてこのデパスを1日3回朝昼夜0・5㎎錠を1錠ずつ(合計1・5㎎)飲むというオーソドックスな処方が多いでしょう。

ここでの減らし方には2種類の考え方があります。一つはできるだけ血中濃度は保とうと努力する考え方です。もちろん減らせば血中濃度は揺らぐのですが、それでも口内変動を少なくするということです。その場合は、朝0・4㎎→昼0・4㎎→夜0・4㎎という飲み方に変えていきます(a)

いきなり0・3㎎ 減らすのがきつい場合、朝0・5㎎→昼0・4㎎→夜0・5㎎などから始め、すべて0・4㎎に移行すればいいでしょう(b)。この場合、0・4㎎という錠剤はありませんので、ピルカッターなどで自己調節する必要があります。これで 0・1㎎ずつ進め、昼を抜き、次に朝を抜き、最後に夜を抜くという寸法です。

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もう一つは夜に移していくというやり方です。デパスで寝ることはダメと書いたばかりですが、寝やすくなることは確かなので、それをぎりぎりまで残しながら減らしていきます。

具体的には、朝0・5㎎→昼0・25㎎→夜0・5㎎を2週間から4週間続けて様子を見て、慣れてきたら朝0・25㎎→昼0・25㎎→夜0・5㎎に移行します(c)。

この先は分かれ道で昼の0・25㎎をやめるか、晩の0・5㎎を0・25㎎にするかですが、前述のとおり平坦化するなら夜を0・25㎎にします。夜に移していく方法を選ぶなら晩の0・5㎎は残したままで、朝と昼を削ってゼロを目指してください。この方法は当然昼間は不安が強くなります。ただし夜は寝やすいです。どちらを選ぶかば医師と相談しながら自分で決めることが肝要です。

 

以上、抜粋終わり

第2弾参考になったでしょうか?

明日もまだ続きます。

お付き合いください。

うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 1ー

今回は具体的な減薬・弾薬法のケースというテーマでお伝えします。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

処方パターン別減薬・断薬対応法

それでは具体的な減薬・断薬法について考えてみましょう。

まず断薬には、低用量タブレットと散剤を組み合わせて使うとよいです。散剤がない場合は、ピルカッターで慎重に小さくカットするようにします。

減薬過程で患者の禁断症状が強い場合は、いったん向精神薬の量を据え置いて、禁断症状に慣れるまで待ちます。このとき禁断症状緩和のために、いかなる向精神薬も追加しないことが鉄則です。依存を深め自律神経系に不安定をもたらし、回復を遅らせる原因となります。

また禁断症状があるから減らさないという発想は間違いです。禁断症状があっても減らすのが基本で、止めるのは特にその症状が強いときだけです。これは薬物リハビリにかぎらず、リハビリそのものの基本的な考え方です。

脳梗塞後の麻痺のリハビリでも、病気のつらさ、関節の痛さや手足が動かない苦痛があるのに、あえてつらいリハビリをするのです。薬物リハビリもこの原則を重視しなければいけません。

またあなたが最初に精神科を受診したとき、どのような症状だったかを思い出すことが重要です。

たとえば不眠の人がいます。うつっぽいという人もいます。幻覚や錯乱など重い精神病的状態の人もごくたまに見かけます。これを考慮して減薬することは大切なことです。最初不眠だった人は、減薬していく過程で、向精神薬の処方を夜に飲むように調整していくことが大事です。また最初から幻覚があった人となかった人では、減薬の慎重さが変わってきて当然です。それらを総合的に考えないと、断薬の確率が上がることはないでしょう。

①単剤の場合

日本の精神科の現況を考えれば、単剤を処方されている人のほうがよほど少ないと推測されます。しかしこれは減薬するうえでの基本なので、考察して損をすることはありません。

まず自分の飲んでいる薬が比較的抜きやすい薬か、抜きにくい薬か、非常に抜きにくい薬かを区別してください。これにも個人差はあるのですが、基礎的なこととして知っておきましょう。ここでは私の独断と偏見で、それぞれの分野の比較的使われやすい薬を3段階に分けます。

繰り返しますが、この抜きやすさの感覚は私の独断と経験に基づくものであり、何の科学的根拠もないことはご理解ください。またジェネリックに属するものや、同じ成分で他社の薬剤はご自身でお調べください。これらの薬すべてに注釈をつけて減らし方を書くことはできません。

さらに言えば同じものを飲んでいる人でも、人によって減らし方や量を変えるのはよくあることで、原則を押さえることが大事です。

ここでは日本でよく使われるジプレキサ、リスパダール、パキシル、デパス、ロヒプノールについて、私流のやり方を書いてみることにします。

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【A‥ジプレキサ20㎎(CP換算800)を飲んでいる場合】

精神医学の闇に接するようになって数年、おそらくこのジプレキサこそが抜いたとき、最も恐るべき禁断症状が出る薬だと思っています。

近年、一番販売額が多い薬ですからさらに始末に負えません。基本的に統合失調症の破瓜型によく使われますが、ジプレキサを使うと、まさに本人が統合失調症の破瓜型のようになってしまうのです。

精神科にかかり出したころは錯乱もなかったのに、ジプレキサを投与され薬を変更したとき、薬を減らしたときに錯乱、支離滅裂になるという例が後を絶ちません。これ自体が精神疾患でもなんでもなく禁断症状であり、医原病であることに気づけるかどうかがカギです。こうなる理由はジプレキサが多数のホルモンに働きかける、特殊な薬(MARTA)であることが要因だと思われます。

まず薬の量に応じて患者が過鎮静(注意力が低下するなど、過剰な鎮静状態)になっているかどうかを判定してください。過鎮静になっていれば通常より少し早く減量できる可能性があります。私流の標準的なやり方としては20㎎→17・5㎎→15㎎というふうに、CP 1OO単位程度で2週間から4週間程度のペースで減らしながら様子を見ます。過鎮静であれば大きな禁断症状が出る可能性は低いので、2週間ずつくらいで進めることが多いです。

これまでの意識づけや知識の問題に加え、第11章に示す禁断症状の緩和法もうまく活用してください。

考え方としては錯乱したりしなければ、次のステージに進む(頭痛、食欲低下、腹痛、 不安などがあっても)つもりでいなければなりません。禁断症状が出るから減薬が止まってしまうというのなら、最初から減薬も断薬もしないほうがましです。 まずはこれを何回か繰り返して、CP換算400程度(ジプレキサ10㎎)を目指します。

10㎎まで進めばここからは個人の考え方により左右されてきます。慎重に減らしたい方は10㎎→9㎎→8㎎というふうに、1㎎ずつ2週間から4週間単位で減らしてください。この場合1㎎という錠剤はありませんので、ジプレキサ細粒という粉を活用します。細粒が手に入らないなら自分で加減するより手はありません。

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まだ過鎮静があったり減らすことを優先したい方は、10㎎→7・5㎎→5㎎というふうに5㎎までは進んでください。ただジプレキサは5㎎前後(CP200前後)によく壁を感じ、いわゆる破瓜型のような状態が見られることがあります。5㎎までくれば4 ㎎→3㎎→2㎎というふうに、同様に2週間から4週間単位で減らしてみてください。1㎎まできて慎重に進めたい方は、0・5㎎を間にはさんでもかまいません。

 

以上、抜粋終わり

暫く具体的な減薬・断薬方法をお伝えしていきますので、

参考にしてください。

うつ病からの脱出ー向精神薬を減量するときと一気にやめることの問題点ー

今回のテーマは向精神薬を減量するときと一気にやめることの問題点というテーマでお伝えします。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

向精神薬を減量・断薬する前の心得

さて次の章から具体的な減薬・断薬法に入っていきますが、これまでに挙げてきた基礎的内容、背景、精神医学の根本的問題をあらためて理解するよう意識してください。

もしあなたが他の部分を飛ばして、この部分だけ読んでいるのだとすれば、間違いなく減断薬は失敗します。それらが不確実なままこの部分だけ取り上げて用いても、減薬や断薬が成功する確率は著しく低下するのです。ここまでに載せたことでさえすべてではなく、割愛した情報が多いことを理解していただきたいと思います。

まず減薬から断薬に至るまでの期間はどれくらいになるのでしょうか?という疑問がありますが、飲んでいる薬の量と種類によるとしか言えません。私個人の経験では3カ月から18カ月くらいが目安になるようで、これは当事者の理解度や意志、家族の協力度によっても変わってきます。ここでも絶対の基準というものはなく、当事者の意志に沿いながら、減らしたことに対しても当事者が責任を感じるかたちで進めていくことが必要です。

ここでよく出てくる質問があります。それは「一気に抜いてはダメなのか?」という質問です。これに対しては多くの精神科医、薬理学者はダメだと答えると思います。

しかし私の答えは少し違います。私は理想的には一気に抜くのが最もいいと思っています。これは自らの経験だけでなく、海外にある麻薬離脱施設の治療成績や経験に基づくものです。最初にナルコノンを紹介しましたが、そこではすべての薬、たとえそれが違法ドラッグであれ向精神薬であれ一気に抜くのか基本です。

でもそれは日本では可能でしょうか?

到底無理であるというのが現実です。だから妥協案として少しずつ抜くという選択になってしまうのです。

なぜ一気に抜くのが一番なのか、そしてそれにもかかわらずなぜできないかを説明しましょう。これは実に単純な話です。覚醒剤やヘロインを微調整して量を減らしながら 断薬しようとするでしょうか?もちろんそんなバカなことはしません。それにドラッグから向精神薬へ移行しようとすることもまったく意味はありません。

そしてもう一つ重要な問題は、向精神薬を減量している時間が長くなればなるほど、自殺のリスクが高まります。他害のリスクも、依存度数も高まります。これらは素人であっても思い浮かべることで、何も間違ってはいないのです。しかし一気に抜くにはハードルが高すぎるという現状があるのです。

そうです、条件つきなのです。この条件について説明することが、現在の日本の状況や向精神薬自体の問題を理解するにも役立つでしょう。薬離脱施設というのは日本にはありませんが、海外にあるナルコノンなどは、ただ頑張れというだけで一気に断薬する場所ではありません。きれいな建物で、中には保護室のような場所もあり、運動スペースやサウナなどもあります。栄養学的にも考えられた食事が出て、サプリメントを何種類も使って禁断症状を緩和します。一気に断薬すれば暴れたりモノを壊すくらいは当たり前です。だから保護室も必要になるのですが、その中でサポートを受けながら断薬するからこそ、断薬できる可能性、社会復帰する可能性が飛躍的に高まり、80%以上の高確率を示せているのです。

日本で向精神薬を抜くのは難しい?

では日本はどうでしょう?

もちろんそんな施設はどこにもありません。ただの一つもです。そうすると日本の中では二つの選択肢を迫られます。つまり、

①自分で医者顔負けに勉強し、栄養学を学び、サウナを見つけ、家族の理解をとりつけ、自分の部屋がボロボロになっても全責任を自分でとる覚悟で一気に断薬する。

②断症状と依存が長引くことを覚悟のうえで少しずつ減薬していく。

一見すると後者のほうがよさそうですが、実際全体を眺めてみるとそうではありません。単純に言って社会復帰する時期が大幅に遅れますし、新たな依存を形成する恐れも飛躍的に増し、その期間の自傷他害の可能性も増します。

まさにこれは日本における課題の縮小図です。ナルコノンのような施設があったほうがいいと多くの人々は思うことでしょうが、このような施設だからこそ海外ではカルトとして扱われ、非科学的で危険な組織だと言われるのです。

それはこのような有意義に治す施設が増えてしまうと、精神医療産業が根底から破綻してしまい、自分たちの嘘も暴露されてしまいますし、自分たちが儲けることも患者を「殺す」こともできなくなってしまいます。だからこそこのような施設をつくってはいけないと働きかける「スパイ」が多数存在するのです。このスパイたちを「アノニマス」と言います。

「アノニマス」とは匿名という意味で、ネット上を暗躍する集団です。一見するといいことを言っているときもありますが、実は利権側の手下であることが多く、だから匿名なのです。

いつかは日本にもこのような組織に対する真の理解が増え、一気に向精神薬を抜くことをサポートできるような組織がつくられればいいと私も願っています。

そのような状況ですから、デメリットはあっても様子を見ながら禁断症状の緩和を図って抜いていくしかない、それが日本の現況なのです。

 

以上、抜粋終わり

日本は残念ながらまだ支配者の力が強く、

本当に良い政治は行われません。

早く日本も真の独立をする日が来ることを、

願ってやみません。

うつ病からの脱出ーそれぞれの薬の問題点 2ー

今回のテーマはそれぞれの薬の問題点の第2弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

ベンゾ系の問題点が依存性であることは言うまでもありません。覚醒剤と呼ぶにはベンゾ系が一番近いのかもしれませんが、自我が弱い人はこれを抜くことによる不安や、これを飲むことによって得られる利益(飲んでいるから仕事ができるなど)を手放すことに耐えられません。

ここで問題は、ベンゾ系が人格を崩壊することは少ないということです。これはメジャートランキライザーなどとはかなり違う点です。ベンゾ系は正気を保たせたまま、人を極限まで不安にさせ、筋肉や体に作用するという印象があります。禁断症状として 多いのか不安の増強、不眠、筋肉痛、頭痛、目の痛みなどで、その他にも多くの症状を呈します。それらが千差万別なのは他の薬と同様です。

抗パーキンソン病薬(以下、抗パ剤)は本来、メジャートランキライザーの副作用を抑えるためのものですが、これ自体にも副作用や禁断症状が多いため注意が必要です。また飲んでいる薬が多いときは、一時的には減薬の助けになりうるので判断が難しい薬でもあります。

基本的には抗パ剤でうつ症状、統合失調症同様の症状を引き起こすことがありますが、それとは別に禁断症状として抗コリン性離脱症状があります。具体的には腹痛、食欲低下、吐き気などの消化器症状、不眠、不安、焦燥感、頭痛、めまいなどです。

いずれにしろメジャートランキライザーの量を見ながら、本人の錐体外路症状の様子によって減らす時期を決める必要があります。

気分調整剤(ムードスタビライザー)はこれまでの薬と比べると、まだ減薬しやすい薬にはなります。しかしそれは比較の問題であって、やはり副作用や禁断症状が多数存在することに変わりはありません。基本的な症状はベンゾ系に近い感覚ですが、文字どおりスタビライザー(安定装置)ですから、減らすことによって感情の波が強くなることがあります。

ここでも感情の波が強くなることは人間的でいいことである、と考えられるかどうかで薬から離脱できるかどうかが分かれます。また最も頻用されるパルプロ酸ナトリウムには高アンモニア血痕、リーマスにはリチウム中毒の副作用が指摘されているので注意していただきたいと思います。

ここに記載したことはごく初歩的なことですが、これで満足せず向精神薬を飲んでいる方、これから抜こうと考えている方にぜひやっていただきたいことがあります。

それは自分が飲んでいる薬の「公式添付文書」を見ることです。これはインターネット上でも薬局でも手に入れようと思えばすぐに手に入ります。その添付文書で詳しく副作用や危険性について理解していくことが、向精神薬を抜くうえでの必須事項だといえるでしょう。

また等価換算について理解してください。メジャートランキライザーとベンゾ系については有用な換算表である、クロルプロマジン換算とジアゼパム換算があります。これでどれくらいの薬の量をとっているのかを理解することは、減薬するうえで必須といえるでしょう。

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クロルプロマジン換算表は、使われている抗精神病薬をCPつまりクロルプロマジン(=コントミンやウィンクミン)の力価に換算したものです。 たとえばCP換算1000㎎なら1日にコントミン(50㎎)を20錠飲んでいるという目安になります。またリスパダールを2㎎飲んでいるとすれば、リスパダール1㎎と コントミン100㎎が等価なので、リスパダール2㎎をクロルプロマジン換算すると 200になります。

精神医学の多くの教科書でさえも800以内とすることが書かれており、目標を 400以内とする薬理学者もいます。

次のジアゼパム換算表は、使われている抗不安薬(主にベンゾ系薬物)をジアゼパムの力価に換算したものです。ただクロルプロマジン換算に関してもそうですが、薬物ごとに効果の強さや効果持続時間(血中半減期)に違いがあるので、一つの目安として考えることが重要です。

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たとえばデパスをジアゼパムに置換して、1・5mg服用しているとすれば、セルシン5㎎が等価となります。ただ半減期や蛋白結合率などを考慮すると、このジアゼパム換算は正確ではないという専門家もいます。

繰り返しますが、あくまでも一つの目安として考えればよく、この本のコンセプトは「向精神薬は不要な存在である」ということを忘れないでください。ジアゼパム換算では15㎎を超えないように推奨されている場合が多いようですが、そもそもこの許容量は設定が高すぎると考えられます。

抗うつ薬の換算としては、イミプラミン換算というものが使われることもあります。しかし私自身はこの換算はジアゼパム換算以上に正確でないと考えており、この本においては記載しません。

以上、抜粋終わり

断薬するにあたっては、

なるべく自分一人ですることは避け、

できるだけ協力者や理解者を探し、

サポートしてくれる人を探したうえで、

リスクを極力小さくして、

行う環境を整えたうえで、

実行するようにしましょう。

うつ病からの脱出ーそれぞれの薬の問題点 1ー

今回はそれぞれの薬の問題点というテーマでお伝えします。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

薬の副作用について

ここでは薬それぞれの副作用、依存性、禁断症状、後遺症について簡単に述べます。

まず副作用と禁断症状と後遺症について簡単に定義しますが、これらは本来、確実な定義があるわけではありません。そもそも副作用という言葉を使っていますが、これも見方を変えれば作用の一つにすぎません。医療側の都合によって分けているだけです。

副作用は「飲んでいる間に出ている不都合な作用」の総称とお考えください。そして禁断症状は字のごとく「薬をやめたり減らしたことによる短期的な症状」のこと。後遺症とは「薬をやめたり減らしたことによる長期的もしくは永続的な症状」のことです。ここで禁断症状と後遺症の明確な境目の定義はありません。そのような定義を医学界は明確にしていないからです。

私は便宜上1カ月以内の主要な症状を禁断症状と呼んでいます。それ以後残っていく症状は後遺症と呼んでいます。この呼び方は絶対ではなく、私流であることをご理解ください。

まずメジャートランキライザーですが、この依存や後遺症と、ベンゾジアゼピン系(以下、ベンゾ系)向精神薬や抗うつ薬のそれは明らかに違います。薬の内容が違うので当然ですが、メジャートランキライザーを飲んでその後に抜いたときは、まさに統合失調症同様の禁断症状が出ることが多いです。

ここでの一番の問題は、元は幻覚や強い妄想、支離滅裂性がなかったのに、飲んでからそういった症状が出るということです。これは逆説的にドーパミン理論を支持しているので皮肉なことですが、抑えられていた他の脳ホルモンの生理的反動である可能性もあります。

このことを示す仮説(ここでもまた仮説です)がアップレギュレーションです。アップレギュレーションとは投薬された影響による「受容体の増加」のことです。メジャートランキライザーは受容体を塞いでしまう存在であり、それが続けられると脳内は受容体(受け手)を増やして対応しようとするわけです。その後減薬したり断薬したりするとドーパミン機能などが相対的に上昇し、統合失調症同様の症状(幻覚、妄想など)が誘発されるわけです。これはいまだ仮説の域ですが、臨床上は理解しやすい概念とされています。

他にメジャートランキライザーの副作用として有名なのが錐体外路症状です。これにはパーキンソニズム、アカシジア、ジスキネジア、ジストニアなどがあります。

詳しくは専門書をご覧いただきたいのですが、簡単に分けると以下のとおりです。

・パーキンソニズム(安静時の振戦、筋強剛、無動など。小刻み歩行などの歩行異常、前傾姿勢、仮面様顔貌などが見られる)

・アカシジア(ソワソワ落ち着かない、動き回りたくなる、貧乏ゆすり)

・ジスキネジア(口周辺や舌の異常な運動、舌のもつれ、手足が勝手に動く)

・ジンストニア(顔や首の強いこわばり、首がそり返る、ひきつけ、けいれん、目が正面を向かない、目の玉がクルクル回る、眼球上転)

その他にも出る副作用として糖尿病、体重増加、性欲の低下、記憶障害、虫歯や歯周炎、人格変化、退行などさまざまなものがあります。これらがどれくらい残るかどうかは人それぞれであり、今のところ明確な法則は見つかっていないと思います。

またメジャートランキライザーのほうが抗うつ薬に比べ自傷率は少ない気がしますが、これも私の主観であることはご理解ください。ある意味何も考えなくさせる鎮静薬ですから、自傷率が下がるのは当然かもしれませんが、それはロボットにしているのと同じであることを理解できるかどうかが重要です。

 

抗うつ薬で恐ろしい副作用は躁転やアクチべーションシンドロームです。要するにハイテンションにさせる作用が強いアッパータイプの薬ですから、そのような問題を起こすのは当然でもあります。

また依存性にも問題があるのですが、あまり知られていない後遺症として認知障害があります。この認知障害が世に出回っている情報よりも強力なのです。抗うつ薬はハイテンションにするだけでなく、強迫性(こうでないといけない、ああでないといけないなど) の観念に働きかけるとされています。だから精神医学の教科書では、強迫性障害に抗うつ薬を処方すると書いているのです。

しかしそれはつまり強迫性を薄めるわけですから、飲み続けるだけでどんどん「ちゃらんぽらん人間」になってしまうということです。それがさらに続けば、自分が何をすべきか、何をやったらいいのかよくわからないといった状態になります。記憶しなければいけないことが記憶できないとか、やらないといけないことがわからないという話をたくさん聞いてきました。

これはメジャートランキライザーからくる認知障害とは中身が違います。メジャートランキライザーを飲み続けると、まるで知的障害や老人の認知症のようになっていく印象があります。それに比して抗うつ薬は正気は保たれているのですが、いろいろなことが「できなくなる」のです。減らしたときの禁断症状として、自傷行為、他害行為が最も怖いものです。また食欲低下、頭痛、筋肉痛、フワフワ感やめまい、無力感などが見られます。その他も多くの症状が見られ、人により千差万別なのはすべての薬に共通した内容です。

以上、抜粋終わり

薬による副作用や禁断症状は、

複雑でわかりにくいかもしれませんが、

上記を参考にしてください。

 

 

 

うつ病からの脱出ー当事者家族や当事者に近い人間としての考え方ー

今回は当事者家族や当事者に近い人間としての考え方というテーマでお伝えします。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

あなたの大切な人を薬害から救うための心構え

最も重要なことは、薬を飲んでいる患者、飲まされている当事者が一番正しいのだということを理解できるかどうかでしょう。他にも考えるべきことはたくさんあるのですが、これを提示するだけで多くの家族や周囲の人間たちは、不平不満を述べることが多いです。実際に、当事者によって家族に迷惑と思われること、悪いケースとしては家族に暴力をふるうなども散見されます。それなのにこのようなことを考えられるはずもない、というのが正直なところでしょう。

また、ある程度理解できたとしても悪いのは処方した精神科医ではないか、と考える人は少なくありません。もちろん一番悪いのは精神科医であること、これは私も認めますが、それを逃げ道にすることはよくありません。なぜなら、家族や周囲の人間が抱えている深層心理に気づくことができないからです。

当事者が自ら精神科に受診することと、たとえよかれと思っても家族が精神科を受診させることはまったく意味が違います。当事者が自ら精神科の門をたたき、自ら通いたがる人の場合は第6章のような考え方が芽生えないかぎり、決して向精神薬をやめることはできないでしょう。

 

それに比して家族によって連れて行かれた当事者、家族によっておかしいと決められ受診を勧められた当事者はまったく質が違います。そのようなケースの場合、ほとんどが自分は薬を飲まず他人に薬を飲ませ、当事者をコントロールすることを意識しています。薬物を飲ませて人の心を解決しようという発想は、それがどれほどの問題行動であれ、周囲の思いやりからきているのであれ、それは支配にすぎず虐待であることを認識できなければ、物事が先に進むことはないのです。

これは薬物をどのようにして抜くかという具体的手法以前の問題です。本当に心配している家族なら、元々精神科になど受診させはしないものなのです。この意見は当事者の中では根強いですが、家族会を主として、彼らにとっては自分たちの正当性が崩れるため決して認めることはありません。

もしあなたが家族や周囲の人間であり、本当に当事者から薬を抜きたいと思うのなら、家族会と同様の感覚を捨てることから始めることです。本当に家族が勉強して、世界背景も人間とは何かも理解しようと努力し、そして家族愛があるというのなら、「そのような結果」には決して陥らないのです。

もし当事者が家族を恨んでいるのなら、どんなにうまく向精神薬を抜いたところで意味はありません。必ずどこかの時点で家族に襲いかかります。暴力をふるったり、暴言を吐いたりするということです。それはそうすべき理由があるからで、当たり前であることを家族が理解しないかぎり消えることはありません。

まず、なぜ当事者の精神がそうなったのか、原因を考えてください。そしてそれを取り除くためには何をすればいいかを考えてください。目先の行動に左右されてはいけません。どのような行動、どのような症状にも理由が存在するのですから。

大切な人を本当に思うなら・・・

次に強い禁断症状が当事者に出たと仮定します。薬剤性であれば時間が経てば必ず落ち着きますが、どれくらいの期間になるのか通常わかりません。1日2日でだいぶ落ち着く人もいますし、2カ月3カ月似たような症状が続くこともあります。

それに対してあらかじめ対処してあげよう、薬を抜くまで決して誰にも頼らないという意識がないのなら、最初から家族が向精神薬を抜くことなどやめるべきです。もちろんその間の対処は大変でしょうが、本当に家族を愛しているなら不可能ではないはずです。

私はもし家族がこのようになったら、山奥の別荘でも借りて一緒に住みます。仕事は必要ならもちろん辞め、有給休暇があるなら3カ月くらいの休みをもらい、借金をしてでもやります。

しかし私は患者さんにはこんなことはしません。これをやる資格、責任、義務があるのは家族や伴侶以外にはないからです。

 

「私たちは真面目です」とか「私たちは本気です」という言葉を、家族はよく並べます。 しかし私はその人たちが本当に「真面目」だとか、「本気」だと思ったことはほとんどありません。そもそも本気であればそのような状況にはなっていないはずですし、質問する前に薬のことも精神疾患のことも、自分で調べることが可能な世の中なのです。

 

たとえばあなたに3歳の子どもがいるとして、その子が白血病になったとき、親や家族は何をするかという問いに家族がどう答えるかです。本当に本気の親なら、抗がん剤などというものはすべて丸暗記していて当たり前です。もちろん専門職であろうとなかろうと関係ありません。

3歳の子どもが無菌室で苦しい目にあっているのに、薬の知識もなく医師に丸投げしている親が親と呼べるでしょうか?

もちろん本気の親であれば、どこの病院が優れた抗がん剤の成績を出しているかも徹底的に調べますし、そもそも3歳の子どもに抗がん剤を投与して本当にいいのかどうかを調べるでしょう。そこには専門家を信じようなどという発想は存在しません。専門家は利用すべき存在であり、3歳の無力な子どもを守る人間は、親でしかないことを自覚しているのです。専門家とやらを自称する輩が、本当に専門家かどうか常に見極めようとします。

しかし精神科や薬害問題の場合、同じ行動をとる人間はほとんど見られません。「私たちは専門家じゃないのでわからない」「私たちは専門家の先生に頼るしかない」。それが被害を拡大させたことも、その状況をまねいたことも自覚しないのです。

 

ですからもしあなたが本気で当事者を助けたいというのなら、自分の中に巣食っているこれらの観念をすべて自覚して捨ててください。繰り返しますがそこに微塵でも正当化が入るなら、最初から向精神薬を抜こうとすることなどやめることです。

以上、抜粋終わり

断薬の道は決して楽ではありません。

強い意志の力が必要です。

上記はそのための参考にしてください。