今回から上記のテーマでお伝えしていきます。
著書『大笑い!精神医学』から下記抜粋します。
そもそも精神医学の発祥とは?
わざと精神医学にダマされたいと思っている人しか日本にはいない、それが私の率直な感想です。
あえて自分で調べてみようとしない。調べるためのデータを得ようとしない……。
医師が、先生が、親が言うからと自分以外の人のせいにしている。いったいだれが得をして、だれが損をするのでしょう。もはやこの精神医学分野の問題は被害者という言葉が当てはまる問題ではないのです(もちろん被害者は存在しますが)。
つまりそこにはダマして勝ったものとダマされて負けたものしか存在しません。それらをすべて理解するためには、過去の歴史から勉強する必要があるのです。
皆さんが、本章で述べる精神医学における凄惨な歴史を勉強することを、私は願ってやみません。精神科医の行なってきた治療は、人に苦痛を与える、監禁と処刑以外の何物でもないのです。
もともと人を差別、監禁、迫害、殺人するというのは人類の歴史の一部でもありました。しかし、200年ほど前にそれをビジネス化して儲けようという考えを持った人々が現れました。それを概念化したのが「精神医学」であり、これは優生思想という考えをもとに発展しました(優生学という学問が作られたのはもっと後になりますが)。
だれかがだれかを排除したいとか迫害したいとか殺したいという願望のもと、こうした考えが許容され、罪のない人々が犠牲にされるようになりました。1800年代であれば、たとえば政治犯、たとえば異民族、たとえば異教徒、たとえば内部告発者、たとえば居住区の邪魔者、たとえば「知恵遅れ」と呼ばれた人々が、そのような扱いを受け収容されていったのです。じつはこれは2012年現在でも大差ありません。
精神医学を絶賛した独裁者たち
18世紀初めに始まった精神病院・施設は、人々を閉じ込めることを専門とし、それを金儲けのビジネスとして発展させていきました。そこで行なわれていたことは、治療と称したあまりにひどい拷問であり、それは死亡率が高すぎたので精神科医たちは評判を落としていました。
でも、ある特定の人たちにとっては最高の評判でした。このシステムを利用したい人間たち、応援した人間たちの代表格は、権威者や権力者であったのです。一般人にとっては拷問でしかなくても、彼らにとっては懲罰であり正当な治療でした。
この考え方、この精神医学的手法は多くの独裁者に絶賛されました。
その代表格が、たとえばビスマルクであり、レーニンであり、スターリンであり、ナチスのヒトラーでした。彼らが絶賛した理由は、内実は単なる人権侵害や殺人であっても、それを精神医学の名の下に治療として正当化できるからです。
実際に、ドイツ精神医学精神療法神経学会(DGPPN)のフランク・シュナイダー会長は、2010年の総会において、ナチス時代にドイツ精神医学の名の下に、強制移住・強制断種を強いられ殺害された犠牲者およびその家族に、「精神医学がホロコーストを主導した」として正式に謝罪しています。
精神病院で実際行なわれていた方法とは、ひたすら拘束をしたり、吊りあげられたり、ビックリ風呂というような昔でいう水責めなどです。
他にも過剰な熱を持った頭から血液を取り去るという理由で、足首に血ぶくれを作るとか、多くの拷問法が精神病院と精神科医によって施行されました。拷問博物館など拷問器具を扱う場所では、精神科医たちが実際に使った、多くの拷問器具を発見することができます。
恐怖と強制によって人間をコントロール
精神科医たちは、治療を医学的に見せる方法を一生懸命考え出しました。
ベンジャミン・ラッシュ(1745〜1813)は有名な医師ですが、「頭にたまった悪い血を抜く」ことで狂気を治療しようとしました。これを「瀉血療法」と呼びます。もちろんこの治療で何も解決することがないのはふつうに考えればおわかりいただけるでしょう。この時代には、狂気の定義さえ精神科医や支配階級層(この時代でいうと貴族やお金持ち)の価値観によるものが多かったことと思われます。
瀉血をすればなにもできなくなるのは当然ですが、ラッシュはそれで「人が大人しくなった」と主張し、治療効果を強調しました。他にラッシュが好んだ療法として、患者を板の上に縛って回転させ、拷問するという方法もありました。また、精神安定椅子という座らされたらイライラするような椅子を作り出しました。要するに恐怖と強制によって人をコントロールしようとしたのです。さらにラッシュには自分の息子を27年もの間、入院させていたというエピソードもあります。彼は典型的な黒人差別主義者で、黒人の肌の色を遺伝的病気と信じ、「肌の色が白い人間は唯一治療が成功した証拠」とまで言っています。さらに「黒人は白人の上に立つべきではない」とか「白人は黒人と結婚すべきではない。なぜなら精神的な疾患に影響を及ぼすから」と述べています。
このような行為を日々行なっていたベンジャミン・ラッシュですが、彼はなぜか奴隷制度廃止論者でもあり、今では「人道主義者」などと謳われ、アメリカ精神医学界のシンボルとなっています。こうした人物が精神医学界のシンボルになる理由は、この本をお読みいただいているうちに次第に明らかになるでしょう。
以上、抜粋終わり
精神医学の始まりは、
拷問のようなことから始まっているようです。
それが優生学と結びついた。
これは現在社会の根底にある問題です。
それはいずれお気づきになるかもしれません。
まずはどういう経緯で精神医学ができあがってきたのか?
過程を学んでいきましょう。
次回以降、更にお伝えしていきます。