うつ病からの脱出ー月経前症候群(PMS)1ー

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今回は月経前症候群(PMS)というテーマでお伝えします。

著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。

―月経前になるとお母さんが変わってしまう―

官本あすかさん(仮名)31才

 

宮本さんは5才の男の子をお持ちの、はたらくお母さんです。

10年ほど前から、月経の前になるとイライラする、という症状がはじまりました。ここ2年でイライラがひどくなり、そうかと思えば逆に落ち込んで悲しくなったりと、とても情緒不安定な状態になりました。月経が終わった直後だったらまったく気にならないような些細なことも、月経が近づいてくるとやけに気になってしまい、すぐにイライラし、カッとなってしまいます。そのせいで子どもを必要以上にしかりつけたり、夫に八つ当たりしてケンカをしてしまうことが多くなりました。とくに子どもにつらくあたってしまったあとは、ひどく後悔して落ち込むこともしばしばでした。よくないとわかっていても、自分の感情をコントロールすることがどうしてもできないのです。

ほかにも、意欲がなくなる、食欲が増す、足のむくみ、お腹の張りと痛み、だるさ、頭痛、などの症状がありました。

これらの症状は、生理の2週間〜10日前になるとあらわれ、生理がはじまってしばらくするとなくなりました。宮本さんにとって体調がいいと思えるのは、生理がはじまって2週間ほどの間だけでした。その間だけは、夫や子どもに優しく接することができました。でもその時期がすぎるとまた、イライラして攻撃的になったり、わけもなく悲しくなって泣いてしまったりと、つらい日々がはじまります。いつの聞にか、生理前になると、夫と子どもは宮本さんを腫れ物にさわるように扱うように怒り、家族の関係がぎくしゃくしはじめてしまいました。

困った宮本さんは、うつ病ではないかと思い、心療内科に行きました。抗うつ剤を処方されましたが、便秘や躁状態になるなど、副作用が起こったため、怖くなって飲むのをやめてしまいました。

その後、雑誌で月経前症候群(以下PMSと呼ぶ)という病気があることを知り、治るかもしれないという希望を抱いて、産婦人科に行きました。産婦人科ではピルを処方されましたが、症状は改善しませんでした。むしろ、吐き気がする、むくみが強くなるなど、症状が悪くなったように感じました。ピルをやめて漢方薬を試してみましたが、効果はよくわかりませんでした。

困り果てた宮本さんは、インターネットで当クリニックを探し出し、受診されました。

【既往歴】

大きな病気:なし 月経周期:28日・月経痛あり 妊娠1回・出産1回

【家族歴】

祖父:脳梗塞

【初診時現症】

身長:162cm 体重:52kg

PMS/PMDDチェックリスト(81ページ):44点

【診断】

宮本さんの空腹時の血液データは、血糖値が低めであること(空腹時血糖の理想は90mg/dl前後)、また遊離脂肪酸が高く、尿中ケトン体が陽性であることから、低血糖症を強く疑わせるものでした。この血糖調節の問題が、症状に深く関係していることが予想されました。

また、GOT・GPTのバランスは、ビタミンB群の強い不足があることを示唆しています。尿素窒素が低めであることから、タン白質の摂取量も不足していると考えられました。フェリチンも低めであり、軽度の鉄不足があると考えられました。これらのデータを総合して、複合的な栄養失調状態であると診断しました。

そして低血糖症の確定診断のため、5時間糖負荷試験をおこないました。

【5時間糖負荷試験結果】

宮本さんの5時間糖負荷試験の結果から、反応性低血糖症ということがわかりました。ブドウ糖を飲んで50分後の血糖値の上がり方には問題ありませんが、その後だらだらと血糖値を十分に下げられない状態が続いています。そして180分から240分にかけての1時間で、血糖値はいきなり49mg/dlに低下しています。この点で低血糖症の診断基準を満たしています。この血糖値、の急降下が、脳への危険信号となり、アドレナリン・ノルアドレナリンを分泌させ、PMSの症状を起こしていることが予想されます。

【治療】

PMSの症状の原因に低血糖症が深く関係していると考えられるため、血糖値の安定をはかる目的で、低GI・高タン百・高食物繊維の食事指導をおこないました。調子がいいときには体を動かす家事やウオーキングなど、運動を積極的におこなってもらうようにしました。

また、タン白質や鉄、ビタミンB群などの栄養素の不足は、自律神経やホルモンのバランスを乱し、さまざまなPMSの症状を作り出すことに関係しています。これらの栄養失調の改善のために、プロテイン・アミノ酸・ビタミンB群・ナイアシン(ビタミンB3)・ビタミンC・ヘム鉄・ビタミンE・カルシウム・マグネシウム・亜鉛のサプリメントを処方しました。

【経過】

治療をはじめて3ケ月目の月経前の時期になったとき、宮本さんは症状が劇的に改善したのを感じました。自分ではどうすることもできなかったあのイライラ感や情緒不安定さが、ほとんどといっていいほどなくなったのです。あまりにも気分がちがうので、宮本さん自身も、家族の方もビックリしたそうです。頭痛やお腹の張りなども楽になりました。PMS/PMDDチェックリストは、なんと44点から3点に減少していました。月経前になるとあれだけ鬱々とし、家の中が暗かったことがうそのようです。

血液データの結果もとてもよく改善されていました。まず、空腹時血糖値が88と、ちょうどよいレベルに上昇しています。また、遊離脂肪酸が低下し、尿中ケトン体が陰性になっています。これは低血糖により引き起こされていた脂肪異化が改善したことを意味します。つまり血糖値が安定してきたということを意味しているのです。 GOT・GPTのバランスは、ビタミンB群が充足しつつあることを示します。尿素窒素はまだ低めなので、もう少しタン白質の摂取量を増やすとさらに元気になるでしょう。

 

以上、抜粋終わり

上記の症例は、

月経前症候群という病気の中に、

低血糖症が潜んでいた症例です。

このように低血糖症は、

いろんな病気の中に隠れている場合が多いです。

なのでわかりずらいのですが、

きちんとした知識を持てば、

わかります。

まずは知識のきちんと習得して、

自分の状態が該当するのかどうかを、

きちんと見極めてください。

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