今回は同テーマの第4弾です。
著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。
【G:メジャートランキライザー+抗不安薬またはムードスタビライザーの場合】
それぞれに直接的な阻害作用はあまりありません。とはいえ同じ代謝酵素の薬剤であれば、分解が遅くなるので注意する必要があります。逆にムードスタビライザーや抗てんかん薬の一部には誘導作用といって、分解を促進するものがあるので注意しましょう。ここではそのすべてを説明するのは困難なので、オーソドックスなメジャートランキライザー+抗不安薬の処方について考えます。
まずどちらを抜いていくべきかを考えますが、これは薬物作用も大事ですが、ここでも最初に精神科にかかったときにどのような症状だったかを思い出してもらう必要があります。
最初の症状が神経症的な症状だった場合は、早めにメジャートランキライザーをやめ、抗不安薬が残るようにしましょう。逆に最初から幻覚や錯乱など強い症状があったのなら、メジャートランキライザーがぎりぎりまで残るようにしなから、ベンゾ系の単剤化を目指します。
また交互に減らすのか、片方を一気に減らすのか、ということを疑問に思う方が多いようですが、できれば交互に減らしながらのほうがいいと思います。ただ必ずどちらかは残るので、前述したわけです。
ここではこれまで出したジプレキサとリスパダール以外のメジャートランキライザーとして、セロクエル、抗不安薬はデパス以外のものとしてソラナックスを例に挙げて説明したいと思います。
〈セロクエル300㎎+ソラナックス1・2㎎の場合〉
最初はセロクエルを抜いていきます。減らす量が多いと感じれば25㎎ずつなどに調節していき、まずは1日50㎎ずつ100㎎を目指します。
150㎎になったところでセロクエルからソラナックスにうつり、減薬していきます。
この下げ幅で禁断症状が強い場合は、当事者と相談して量を調節していきます。
それからまたセロクエルに戻ります。私流では100㎎を目安にして戻りますが、この方法が絶対ではありません。またFのパターンにもあるように、元々の症状が精神病的だったか神経症的だったかで方針を変えます。
神経症的ならセロクエルを優先的に減らし、ソラナックスを残していきます。ソラナックスのみとなれば単剤の減薬と同じ要領で進めてもらえれば結構です。
精神病的なら慎重に相互を減らしていきます。当事者の感覚も参考にして交互に減らしていきながらベンゾ系の単剤を目指します。ここでスピードを緩めてもかまいません。セロクエル87・5㎎+ソラナックス0・6㎎で2週間から4週間などとし、同時くらいに両方がゼロになるように目指します。
【H:抗うつ薬+抗不安薬の場合】
メジャートランキライザー+抗うつ薬の項でも説明したように、抗うつ薬は多くの向精神薬代謝を阻害します。これは抗不安薬も例外ではありません。ただ危険性や後遺症という点においては、メジャートランキライザー+抗うつ薬よりはましです。もちろん個人差はありますが、抗うつ薬+抗不安薬の組み合わせは、禁断症状は強くても会話が成り立たないなどの症状は少なく、自覚や認識は保たれながら禁断症状が出現してくる薬です(もちろん抗うつ薬が多いときは成り立ちませんが)。
だからしっかりと勉強し認識を強固にすれば、この処方は必ずやめることができます。これはメジャートランキライザーとの大きな違いと言えるかもしれません。
ここではジェイゾロフトとレキソタンを例にとって説明していきたいと思います。
〈ジェイゾロフト100㎎+レキソタン6㎎の場合〉
ここでも相互作用を呈しやすいのは抗うつ薬です。
ジェイゾロフトもパキシルやルボックス(またはデブロメール)ほどではありませんが、相互作用で他の薬の代謝を阻害します。そのため、私流ではジェイゾロフトから減らしてゼロを目指します。ずっとジェイゾロフトばかり減らす必要はありません。当事者の様子や禁断症状の具合に応じて、レキソタンを一時減らしてもかまいません。その原則にしたがって、まずレキソタンの単剤化を目指します。
ジェイゾロフトゼロを目指せそうならそうしてもかまいませんし、一度レキソタンにうつってもかまいません。個人的にはずっと一つの薬を減らすより、交互に進んだほうが成功率が高い印象があります。
繰り返しますが、必ずこの量で減らさないといけないわけではありません。当事者の感覚に沿って減薬量と期間を決めます。
以上、抜粋終わり
いかがでしょうか?
減薬は量など個人差があるので、
自分の適量を確認しながら、
急がずにじっくりと進めてください。
焦らないでくださいね。