今日は第3弾です。
著書『精神科は今日も、やりたい放題』から下記抜粋します。
安全な精神薬はあり得ない
薬についても100〜数十年前までは現代のような複数の精神薬は存在しなかった。
そのため何が使われていたかといえば、酒(アルコール)、アヘン、モルヒネ、ヘロイン、コカインのような物質である。
そしてその後に現代で使われるような薬物が順次登場してきたわけだが、それはその薬物が安全であることを示すものでは決してない。挙げたような覚醒剤や麻薬よりは「若干」副作用や依存性がましである、もしくは副作用がわかりにくいというだけにすぎない。そのために医療用薬物として取り上げられたわけであり、現代の最新精神薬に至るまで、決して安全な精神薬など一つもないということを、われわれは理解せねばならない。
ヘロインはバイエル社が1893年に開発し、LSDはノバルティス社の研究員が合成し、MDMAはメルク社が合成し、コカインは三共製薬によって1920年代に精製され闇市場に売りさばかれていたのである。覚醒剤は日本人とドイツ人が精製したそうだが、武田薬品が戦前に商品化している。
世界でもっとも有名な医学雑誌の一つ「The Lancet」に掲載された2003年の論文で、20の薬物について0〜3の範囲で身体依存・精神依存・多幸感の平均スコア尺度を示したものがある。これを見るとタバコやアルコールの依存度もさることながら、違法ドラッグと比べても向精神薬の依存性は非常に強いことが読み取れる。
薬理学的機序(メカニズム)においても、覚醒剤や麻薬と向精神薬の共通性は次のとおり、一目瞭然である。
【向精神薬】
・抗うつ薬はセロトニンの取り込みを阻害する=セロトニンを増やす。
・抗精神病薬はドーパミンの活動を抑える。セロトニンにも作用する。
・抗パーキンソン病薬はドーパミンを増やしたり刺激する。
・抗不安薬はベンゾ結合部に作用し、ノルアドレナリンやドーパミンを抑制。
【麻薬・覚醒剤】
・MDMAはセロトニンの再取り込みを阻害する。細胞内セロトニンを高める。
・LSDは脳内のセロトニンシステムに働きかける。
・覚醒剤はドーパミンを放出し取り込みを阻害する。
・コカインはセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリントランスポーターを阻害。
この薬物治療における弊害については、各項で具体的症例も含めて述べていきたい。
薬が効かない実例
私のクリニックに転院してきた方たちの研究データも紹介したい。これは第一回薬害を考えるシンポジウム(2010年2月20日)で発表した内容である。
このデータを見ると、精神薬はすべての種類が抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗パーキンソン病薬、気分調節薬の六種類であるにもかかわらず、7剤以上出されているケースが18%以上あり、約70%が3~4剤以上投薬されていることがわかる。そして薬剤性過鎮静といって、薬剤の副作用のため気力が低下し、ほとんど寝ているような状況の患者が、40%以上にのぼる。
具体名まで挙げることは差し控えたいが、実はこのような過鎮静をもたらしている病院の多くは大病院であり、有名な権威的病院であった。その多くは大学病院であったり、国立病院であったり、都立病院であったりしたのである。
そして当院に転院した219例のうち、約三分の二にあたる134例の患者さんがほぼ断薬に成功し、症状も改善した。減薬断薬の方法については第5章を参考にしていただきたい。また逆に薬を増やしても減らしても何の変化もない患者さんが17%近く存在した。
このことは薬物療法の無意味さを象徴すると同時に、この群が病気ではなく性格的側面が強いことを示唆している。
減薬して悪化した人というのは、いわゆる禁断症状が出た人たちで、病気の再発とか病気そのものと思われる人は少ない。なぜその症状を病気の再発とはとらえず禁断症状ととらえるのか、疑問をお持ちの読者もおられるだろう。その基本的な見極めは最初の最初に精神科にかかったときの症状を参考とする。
たとえば最初に何かが理由で気分が落ち込み、食欲が低下しだとすればそれが症状である。しかし精神科に通院した大半の患者は、そのまま症状が良くなったという経過をほとんどたどらない。薬を飲むと逆に悪くなったというケースが多くを占め、仮に良くなったとしても一時的であって、結局悪くなるといった経過をたどることが多い。
そうすると最初は食欲低下が主症状だったはずなのに、治療を受ける経過でどんどん症状が変化し、動けない、寝たきり、仕事もできない、動悸・息切れ、さらにひどいものだと暴行、自殺企図、自殺念慮、幻聴、幻視、記憶力低下、性格変化などさまざまな症状が起こってくる。
途中で投薬を変更されたときに急速に悪化し、病名が重いもの(たとえば統合失調症や躁うつ病など)に変わることもまれではない。
これらはそもそも病気が悪くなったわけではなく、薬による医原病なのである。
このことを精神科医はもちろんのこと、ほとんどの患者は理解していないので注意する必要がある。なぜならすぐに精神科医に説得されてしまうからである。
なぜ私が禁断症状と断言できるかといえば、悪化した症状が、減薬してから後に、最初の症状とはかけ離れて悪い症状として出現するということからである。
最初に強い幻覚や昏迷があるのなら病気の再発ということもあり得るが、実は最初からそのような症状を呈する例は少ないのである。必ずそのような強い症状を呈する前に精神科を受診しており、精神科を受診してから悪くなるというのが一般的なパターンだ。
この意味において改善しなかった12例は、家族がこのことを理解できずあきらめて入院させたケースと考えていただければよく、20例は断薬にこだわりすぎて悪化するより、単剤精神薬の投与はやむを得ずと考えられ、落ち着いたと思っていただければよいだろう。
結論としてはこのような結果を生み出す精神医学が、まともであるとはとても言い難いということに尽きる。
上記文章をお読みになって、
どう感じられるだろうか?
もう一度あなたの飲む薬が、
本当にあなたにとって必要なのか?
病気に対して効果あるのだろうか?
ご自身で検討してください。