●大酒は低血糖症への特急便
甘いものを大量に食べるだけが低血糖症を引き起こす、あるいは低血糖症を悪化させる原因ではありません。アルコール依存者が飲酒をやめると・何かに取り離かれたかのごとく甘いものを求めます。
そうです。多くのアルコール依存者は、低血糖症なのです。ミネソタ州にある健康回復センター所長のジョーン・マシューズ・ラーソン博士は、数千人のアルコール依存者を栄養療法によって回復させることに成功しました。
彼女は、100人のアルコール依存者を無作為に抽出すると、88人が低血糖症であることを発見しました。彼女は、「ある医師は血糖のインバランスがアルコール依存の原因であることを信じるようになった」と述べています。
アルコール依存者に低血糖症が非常に多いというラーソン博士の観察が正しいことは、 他の多くの研究によって証明されています。ある研究では100人のアルコール依存者のうち96人が低血糖症で、別の研究ではアルコール依存者の95パーセントが低血糖症といった具合なのです。
1950年代に、ホルモン研究のパイオニアであるジョン・ティンテラ博士は、アルコール依存症から回復し、長年にわたって素面で生活する人でさえ低血糖症に苦しむことを報告しているのです。
だから、アルコール依存症を効果的に治療するには、食事をコントロールすることに焦点を合わせなければなりません。すなわち、砂糖やクイックカーボを食事から完全に取り除かねばならないのです。
ティンテラ博士は、こうも警告しています。「血糖の乱高下が静まって安定になるまで、アルコール依存者はうつや心の病にかかりやすい」
それはそうとして、大酒を飲むと低血糖症を引き起こしやすい理由のひとつは、肝臓がアルコールを分解する作業に忙しく、血糖を上げる余裕がないからです。
大酒による低血糖症はたいへん危険で、致命的になることさえあります。たとえ、大量の飲酒でなくても、悪い結果になることがあります。感受性の強い人では、1〜2杯 の日本酒やワインを飲んだだけでそんなことが起こります。というのは、2杯の日本酒やワインにはかなりの砂糖が含まれているからです。
●低血糖症を診断する楯負荷試験とは?
どのように低血糖症を診断するのでしょうか?伝統的に使用されてきたのが、5時間にわたる糖負荷試験です。
これは、夕食を食べた後に何も食べずに翌朝(約12時間の絶食)、病院に行き、吐き気をもよおすほど甘いブドウ精液(75グラム)を飲んで50分ごとに採血して血糖値を調べるというもの。病院によってはインスリンレベルも調べます。糖負荷試験は、医師にとっても、それ以上に患者にとってめんどうで辛い試験です。
それから、糖尿病などの検査で採用される糖負荷試験は、ブドウ糖液を飲んでからの採血が3時間で打ち切られます。しかし、もし、あなたが低血糖症であることを疑うのなら、5時間にわたる糖負荷試験を採用しなければなりません。なぜなら、低血糖症の診断をしようとするなら、3時間の糖負荷試験は不正確で、誤った結果を与えることが多いからです。というのは、3時間試験では、5時間試験の最後の2時間に低血糖値があらわれるのを見失ってしまうからです。
糖負荷試験で血糖値が70、60、50と低下していったら、あなたは低血糖症である可能性があります。でも、どの数値が低血糖症と正常を区分するポイントであるかについては、専門家によっても意見が分かれます。ただし、多いのは50以下を低血糖症とする意見です。
●とっても辛い糖負荷試験
糖負荷試験には、精度や再現性にも問題があります。再現性というのは、ある実験の結果をもう一度再現することをいい、要するに、信頼性のことです。たとえば、あなたに症状があらわれても、試験では正常と出ることもあるし、たとえ症状がなくとも、試験で低血糖症とされることもあるのです。また、同じ人でも、正常と出ることも異常と出ることもあるということです。
糖負荷試験の信頼性に問題があるということですが、これは糖負荷試験に限ったことではありません。そもそも試験とは、そういうものなのです。
さらなる問題は、糖負荷試験はとても辛いということです。患者はへトへトに疲れ、 震え、頭痛、めまいなど、とてもイヤな気分になります。それはそうです。血糖のコントロールがうまくできない人が空腹時にブドウ糖を飲めば、血糖が大きく振れ、低血糖症の症状があらわれるのは明らかです。一晩の絶食も血糖を下げるので、患者を辛い目にあわせます。
このため、アメリカでは糖負荷試験を好まない医師が増えています。そういう医師は、患者の訴えるいくつもの症状から診断をくだします。もし、患者に低血糖症の症状が10以上もあらわれ、大量の砂糖を摂取しているのなら、低血糖症であることは明らかで、わざわざ試験をするまでもありません。
検査ばかり重視する傾向を医師デオリオは、こう痛烈に批判します。「医学部では診断の90パーセントは患者の病歴から、残りの10パーセントは検査からと教えています。 検査値は病歴を支える脇役なのです。しかし、多くの医師たちは、検査値を過大評価する一方で、症状を過小評価しています。こうして彼らは病気という事実を無視してしまうのです」
たとえ患者に症状があっても、検査値はいつも正確ではありません。このため、検査値ばかりに頼ると、症状が無視される結果となるのです。
以上、抜粋終わり
アルコール中毒患者の中に相当数、低血糖症の方がおられるのは驚きでした。
でも逆にアルコール中毒患者で自分が低血糖症だとわかれば、対処方法がわかり、早くアルコール中毒から脱出できる可能性があります。
これはチャンスかもしれません。
我が国でも低血糖症の認知度が低く、従って5時間の糖負荷試験を行っているところは少ないようです。
私が住む関西圏でもどこかあるかもしれませんが、まだ見つかっていません。
でも糖負荷試験をしなくても、経絡治療によって東洋医学的に病態を把握し、回復させることは可能です。
これは治療を行う上で、一つの選択と考えてください。
疑いがある人は、早く自分を回復させるために、何がしかのアクションが必要です。
自分がこれと思うアプローチを1日でも早く起こしてください。