うつ病からの脱出ーパニック障害 1ー

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今回はパニック障害というテーマでお伝えします。

著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。

- わけもなく不安になる -

小沢加奈子さん(仮名)22

小沢さんは今年の春就職したばかりの、おしゃれな新人OLさんです。

小沢さんは、大学を卒業する半年くらい前から、情緒不安定になりました。わけもなく落ち込み、泣いてしまうこともたびたびでした。なにがきっかけかはよくわからないのですが、突然動悸がはじまり、不安になってしまうのです。ときどきそれがひどくなると、どうしたらいいのかわからなくなって恐怖感に襲われ、過呼吸になり、パニック発作を起こしてしまいます。そんなときに自分には価値がないと強く感じてしまい、絶望的になって、発作的にリストカットをしたこともあります。

もともと小沢さんは友達も多く社交的で、それまでそのような症状を感じたことはありませんでした。しかし、就職活動の時期からかなり忙しく、ストレスが多かったことは確かです。睡眠時閲も短くなり、食事もおろそかになっていたそうです。就職してからも、ハードで忙しい毎日を送っていました。しかし今は、このような症状で会社を休むことが多くなったため、休職しています。また発作が出るかもしれないと思うと、外に出るのが怖くなってしまい、家から出られなくなりました。

精神科に行ってみると、「パニック障害」と診断され、精神安定剤を処方されました。薬を飲んでみましたが、あまり効果が感じられず、3日でやめてしまいました。はかにも疲れやすい、冷え性、頭痛、立ちくらみ、めまいなどの症状があったので、漢方薬も試してみました。冷え性は改善しましたが、精神的な症状には効果がないようでした。

月経の前の1週間に、とくに症状がつらいということに気がついたので、婦人科にも行ってみました。月経痛がひどいので、痛み止めと、やはり精神安定剤を処方されました。ピルの服用をすすめられましたが、ホルモン剤を飲むことに抵抗があったので、飲みませんでした。

そんな中、ご家族がインターネットで当クリニックを探し出し、受診されました。

【既往歴】

大きな病気:なし 月経周期:不順・月経痛あり(強い)

【家族歴】

祖母:糖尿病

【初診時現症】

身長:158cm 体重:51kg

【診断】

小沢さんの血液データをみると、尿素窒素が6・8mg/dlと低く、タン白質の摂取量がとても少ないことがわかりました。また、亜鉛が低いことから、亜鉛の不足があると考えられました。ヘモグロビンは一見問題ない数値ですが、フェリチンが低いことから、隠れた鉄の不足があると考えられました。ほかにもビタミンB群の不足、カルシウムの不足なども疑われ、複合的な栄養失調の状態であると判断しました。これらの栄養失調が、小沢さんの持ついろいろな症状に関係していると考えられました。もともと和食中心できちんと食事をするほうでしたが、ここ1年は多忙のため、食事がおろそかになり、食事の代わりにスナック菓子などを食べることも多かったそうです。

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また、グルコース・グリコアルブミン・カリウムの低値から、低血糖症が疑われたため、5時間糖負荷試験をおこないました。

【5時間糖負荷試験結果】

5時間糖負荷試験の結果、反応性低血糖症と診断されました。血糖値の上昇は比較的問題ありませんが、90分から120分にかけての血糖値の低下がやや急激であり、240分で空腹時血糖値の80%以下に低下しています。このように血糖値が下がったときに、血糖値を上げるホルモンであるアドレナリン・ノルアドレナリンが分泌されると、パニック発作が出ると考えられます。

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【治療】

血糖値の安定をはかるため、あまいものやスナック菓子はやめ、低GI・高食物繊維の食事指導をおこないました。とくにタン白質の不足が強かったので、タン白質を積極的に食べるようにしてもらいました。血糖値の安定のために、チーズやナッツなどで間食を積極的にとってもらうようにしました。調子がいいときには、ウオーキングなど、食後の運動をおこなってもらいました。また、ストレスになるようなことを避け、リラックス方法を工夫するように指導しました。

そして、栄養失調を改善するために、プロテイン・ビタミンB群・ナイアシン(ビタミンB3)・ヘム鉄・ビタミンC・ビタミンE・カルシウム・マグネシウム・亜鉛のサプリメントを処方しました。

【経過】

治療を開始してから1〜2ケ月で、小沢さんの症状の多くは改善しました。

まず、落ち込みにくくなり、精神的にとても楽になったそうです。リストカットもしなくなりました。以前のように活発に行動できるようになり、家族から「今日はいったい何時に帰ってくるの?」と心配されるほど、外に出ることが多くなったとのことです。いろいろ考えた末に、仕事はやめました。以前の小沢さんだったら、そんなとき自分を責めてしまい、自己嫌悪におちいって悲観的になっていたと考えられますが、「まあ、いいかと思えるようになったとのことです。

そんなふうに調子がよかったところに、しばらく我慢していたケーキを食べたら、パニック発作が出たので驚いたそうです。あまいものなどを食べることによって起こる低血糖が、それまでの症状の原因になっていたということを実感し、それからは自然とあまいものを食べたくなくなったそうです。

血液データの変化は、まず尿素窒素の上昇より、タン白質をかなりしっかり食べることができていることがわかります。フェリチンや亜鉛も上昇していることから、ミネラルがしっかり吸収されているようです。これらの栄養不足が改善されると、多くの不定愁訴(疲れやすい・むくみやすいなど)は改善されていきます。血糖値の平均を示すグリコアルブミンは少し低下していますが、これはあまいものや精製した炭水化物を食べないようにすると血糖値の上昇の程度が少なくなるため、平均値としては低下したものと考えられます。

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以上、抜粋終わり

私はパニック障害も、

低血糖症が絡んでいるのではないかと考えています。

該当する方は一度考慮してみてください。

 

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