今回は頚筋症候群(頚性神経筋症候群)の最新治療というテーマでお伝えします。
著書『新型「うつ」原因は首にあった!』から下記抜粋します。
首こり検査の流れ
ここで、頸筋症候群の実際の治療について紹介します。治療は、次のような順番で行っていきます。
- 問診表の記入
まず、 問診表の記入をしていただきます。五項目以上チェックがあれば、頸筋症候群の可能性があるので、首を集中的に検査し、首のこりが原因である不調かどうかを診ます。
- 診察(写真184ページ)
患者さんが記入した問診表を見ながら、 頚部の触診を行います。三六カ所の頚筋のチェックポイント(55ページ)を触診していくことで、どの部分の筋肉に異常が起きているか、首こりの進み具合はどうか、重症度はどの程度か、いつ頃起きた異常かなどを診ていきます。
触診は、首だけでなく、首とつながっている肩や背中も必ず行います。
- 瞳孔の診察(写真184ページ)
問診表の一三、一四、一五にもあるように、首こりからくる瞳孔の異常をチェックします。「イリスコーダー」と呼ばれる瞳孔反応測定装置を使って、光に反応して、瞳孔の直径がどのように変化するかを見ます。どの程度閉じにくい状態にあるのかなど、瞳孔の機能検査を行います。
- 各種精密検査
この時点で、頸筋症候群と診断はできません。他の深刻な病気が潜んでいる可能性があるので、さらに五種類の精密検査を行い、慎重に診断結果を出します。
これらの検査によって、他の病気が見つかり、当センターでの治療が難しい場合は、しかるべき総合病院をすみやかに紹介しています。
- 血液検査
通常のクリニックで行っている血液検査と同じ内容です。血液検査から、貧血などの首の筋肉異常以外の病状が見つかる場合があります。
- 頚部のX線検査
レントゲン検査を行い、ストレートサイン(62ページ)がないかどうか、首の筋肉の変性がどの程度進行しているかなどを診断します。
- MRI検査(写真184ページ)
人工的に作った磁場を用いて、コンピュータで体内の断面画像を撮影します。首の七つの椎骨の間にはクッションの働きをする椎間板があり、この椎間板の一部がはみ出して神経を圧迫する「頚椎椎間板ヘルニア」などの症状がないかなどを診断します。経験的にわかっていることですが、椎間板の出方によって頸筋症候群の治療期間が変わります。
椎間板の状態によって、入院の場合、治療期間を一カ月、二カ月、三カ月、三カ月以上の四段階に分類しています。椎間板が突出していると、治療期間は長くなります。外来の場合は通院の頻度によって異ります。
脳のMRIでは脳梗塞や脳内出血、脳腫瘍なども、この検査で確認できます。
- 平衡機能検査
身体のふらつき度を計測できる「重心動揺計」を用いて、めまいやふらつきの度合いを調べます。問診表の項目五や六にチェックを入れていない人でも、自覚症状がないだけという場合があるので、念入りに調べます。重心動揺計で、めまいの度合いもチェックできます。
- 脳波検査
頭皮に電極を付けて、大脳の働きによって発生する脳電流の変動をチェックします。MRIの画像診断ではわからない脳の異常を調べるため、脳波を撮ります。
特殊な頭痛の場合、脳波の異常で判明することもあります。
- 診察
以上の検査結果を見ながら、②の診察では不完全だった点を中心に、もう一度診察を行います。この時点で治療期間の見当がつくので、通院で治療していくか、入院で治療していくかを、ドクターと患者さんと話し合いながら決めます。
そのあと、当センターの専門担当者と今後の治療について相談します。
首こりを治す 最新の物理療法
治療は東洋医学と西洋医学を併用させたものです。
基本的に、抗うつ薬や痛み止めなどの一時しのぎの薬は用いません。患者さんの一人ひとりの症状に合わせたオーダーメイド治療を施します。
定期的に再診察を行い、症状の経過をみながら、首の治療ポイントを変えていく、ピンポイント治療を行います。
低周波治療器(写真184ページ)
特殊な低周波治療機器を二種類用います。市販されている低周波治療機器と同様の効果を想像されるかもしれませんが、そうではありません。
通常の医療用低周波治療機器とは波形が違い、筋肉のより深いところでこりをほぐせるようになっており、治療効果は全く違うものになると考えてください。各種の低周波治療機器を使ってその効果を試した結果、最も治療効果の得られるものを使用しています。同じ低周波治療機器でもその使用法が違うと効果がでません。患者さんそれぞれに悪い箇所が違うので、どの箇所でどのように首の筋肉の異常が起きているのかを見極めてから治療を行います。
遠赤外線
低周波治療機器を使って治療している間に、首を遠赤外線で温めます。遠赤外線を併用することで、低周波治療と相乗効果が期待できます。
電気鍼
長年の研究から見つけ出した首のポイントに鍼を打っていきます。これは私の経験に基づいたポイントで、いわゆる東洋医学の経絡のツボとは異なるポイントです。
椅子に座って腕を枕に顔を伏せた状態で治療していきます。痛みを感じることはほとんどなく、リラックスした状態で受けられます。
点滴
補助的に神経を調整するビタミンBを点滴します。点滴は、飲み薬に替わることもあります。我慢できないほどの激しい痛みを伴う患者さんには、対症療法として一時的に痛みを鎮静させる薬や注射を処方することもあります。
以上、抜粋終わり
病院なので
検査が充実していますね。
治療も筋肉をほぐすことに特化した内容で、
我々からみれば局所治療ですが、
しかし結果を出されているのですから
素晴らしいのではないでしょうか。
しかしこれらの治療内容は
東洋医学的鍼灸治療をしている鍼灸師でも
方法は違うけど行っている内容です。
この医師の治療は素晴らしいですが、
全ての方がこの医師に診断をお願いするのは無理があるかもしれません。
もしこの先生にお願いするのが難しい環境の方は、
前回も申しましたが、
近くの鍼灸院で相談してみてください。
鍼灸師は筋肉をほぐすのは得意分野です。
自分でもほぐす方法はありますが、
まずはプロの方の診断のうえで、
指導を仰ぐことをお薦めします。