うつ病からの脱出ー過食症 4ー

このエントリーをはてなブックマークに追加

今回は同テーマの第4弾です。

前回の続きとなります。

著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。

さらに困ったことに、血糖値が下がりきる前から、血糖値を上げるためのアドレナリンやノルアドレナリンなどの「攻撃ホルモン」が、すでに分泌されはじめています。つまり、非常用スイッチがオンになったときには、すでに自分で自分をコントロールすることができない状態になっているのです。それまでは我慢に我慢をかさねて、食べないようにしていたのに、このスイッチが入ったとたん、そんなことはもうどうでもよくなってしまいます。目の前にある食べものを手当たりしだいに食べまくり、ハッと我にかえったときには、家中の食べものが全部なくなっています。そして、ああ、またやってしまった……、と落ち込むのです。

これを繰り返しているため、多くの過食症の患者さんは、自分のことを「意志の弱い人間」だと思っています。周囲の人もそう思っている場合があり、患者さんを非難することがありますが、残念ながらこの強烈な食欲に逆らうのは、とても難しいことです。私たちの生存本能が、生き延びるためにおこなっていることですから、自分の意思でどうこうしようというレベルをはるかに超えている、といってもいいでしょう。これらの症状はすべて脳とホルモンがおこなっていることであり、けっして過食症の患者さんの意志が弱いわけではないのです。低血糖症がそうさせている、という理解が必要です。

また、過食症の患者さんには、過食したあとに嘔吐する人が多いです。なぜ吐くかというと、自分で食べることをコントロールできない以上、太らないでいるためには吐くしか方法がないからです。たくさん食べても吐いてしまえば、カロリーをとらずにすみます。そして多くの患者さんは、吐くことを過食の言いわけにするようになります。つまり、どうせ吐くのだから、食べたいものをいくら食べてもいいじゃない! と考えるわけです。もちろん、そういうときに食べるのは、ふだん我慢しているあまいものや菓子パンなどです。

しかし残念ながら-ここはよく理解していただきたいのですが-吐いても食べてしまったものはチャラにはなりません。吐いてしまえば食べなかったのと同じ、ということにはならないのです。ここにも、血糖値が関係してきます。

あまいものなどに多く含まれる単純な糖分は、とても吸収が速いのです。とくに、砂糖やブドウ糖果糖液糖などの二糖類・単糖類は吸収がとても速く、口や胃の粘膜からも吸収されることがわかっています。そういうものを食べたり飲んだりすると、吸収が速いため、あっというまに血糖値が急上昇してしまいます。つまり、あとで吐こうがなにをしょうが、血糖値は上がってしまうわけです。となると当然、上がった血糖値を下げようとしてインスリンが分泌されることになります。インスリンはそう、「太らせるホルモン」です。あとで吐いても、チユーイングをするだけでも、あまいものをある程度口にすると、結局はインスリンが分泌されてしまうのです。

インスリンは血糖値が上がると、糖を脂肪にたくわえることで血糖値を下げようとします。吐いているのにちっともやせない、むしろ太る、というのは、このような理由によるのです。そしてインスリンが出てしまったにもかかわらず吐いてしまうと、体内に入ってくるはずの糖分が入ってこないために、インスリンが効きすぎてしまい、血糖値がさらに下がってしまいます。ということは、過食して吐いたあとに、すぐにまたお腹がすいて、もっと食べたくなってしまうのです。これはまるで「過食の蟻地獄」のようではないでしょうか?

つまり、過食症を治すためにやるべきことのもうひとつは、「低血糖症を治す」ということです。

低血糖症を治すということは、とりもなおさず血糖値を安定させる、ということですが、そのためには「なにを食べるか」がとても重要です。ゆりさんの例でも説明しましたが、太りたくないからといって長い間満足に食べないでいると、低血糖を起こします。そしてそのあと必ず過食になります。低血糖を防ぐためには、「こまめに食べる」ことが必要です。そしてもうひとつのポイントは、「血糖値を上げにくいものを食べる」ということです。過食をするときも、あまいものや白米や白パンなどは避け、野菜やタン白質などのおかずを食べることです。そうすることで食後の低血糖を防ぐことができます。これはあとで嘔吐するときも、しないときも、です。当然、あまい食べものや飲みもの、スナック菓子などは厳禁です。白米や白パンなども避けたほうがよいでしょう。具体的になにを食べたらよいかについては、3章の治療の項でくわしく書いていますのでお読みください。

もちろん、病的な心理的要因が原因のひとつとしてある場合は、それを同時に治療することが必要です。過食症の治療経過で、栄養失調を治し、血糖値が安定して、過食の症状が落ち着いてきても、ある日突然、過食がぶり返すことがあります。患者さんに話を聞くと、そういうときには必ず精神的なストレスがあります。多くの過食症の患者さんは、ストレスにうまく対処することが得意ではないようです。ストレスをうまく発散できない場合、過食することで発散しようとするのです。経過が長い患者さんの中には、過食嘔吐がすっかりレジャー化してしまい、逆に「しないと落ち着かない」という人もいるくらいです。しかしこれは「依存症」と同じであり、健康的な方法とはいえませんし、実際の問題解決にはなりません。ストレスの解消方法、またはストレスを生み出す考え方を変えていくと、生きていくのが楽になり、過食も改善します。その場合は心理療法の専門家の助けをかりることが必要です。

 

以上、抜粋終わり

低血糖症が絡んでいる場合、

自分の意思だけでは食欲をコントロールできません。

なのであなたの意思の問題ではなく、

本能がさせていることなので、

自分を責めても仕方ありませんし、

また責める必要もありません。

ただ専門家の指導の下で、

治せばよいだけです。

なので自分の症状を治してくれる専門家を探しましょう。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です