今回は同テーマの第2弾です。
著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。
○過食症は「心の病気」か?
過食症は、一般的に「心の病気」といわれています。心の問題が原因で、常識では考えられない量の食べものを食べてしまう、場合によっては食べたものをぜんぶ吐いてしまう、などの症状が起こるとされています。
しかし、過食症はほんとうに「心の病気」なのでしょうか?
拒食症と過食症をあわせて摂食障害といいますが、摂食障害に心の問題が深くかかわっているということについては、疑いの余地はありません。しかし、心の問題を解決する目的で、心理カウンセリングなどによって過食症の治療をおこなった場合、改善する患者さんももちろんいらっしゃいますが、改善されない患者さんも多くいらっしゃるのです。治療がうまくいって心理的な問題が解決され、気持ちは楽になったとしても、過食や嘔吐は治らない、という患者さんがたいへん多いのです。
過食症は拒食症から発展することが多いといわれていますが、ゆりさんのようにダイエットからはじまる場合も多くあります。また、ダイエットにかぎらず、ほかの病気の治療目的でおこなった断食などがきっかけで、体重が大きく減少した場合などにも起こりえます。つまり過食の原因には、必ずしも深刻な心の問題が存在しているわけではない、ということです。そのような患者さんに共通しているのは、いったん極度の栄養失調におちいったあとに、過食症を発症する、ということです。
もちろん、同じように体重が減ったり栄養失調におちいったりしても、必ずしもすべての人が過食症になるわけでもありません。つまり、過食症になりやすくなる条件や、体質などがあると考えられます。
そのような過食を起こす大きな原因として考えられるのが、「隠れ飢餓状態」と「低血糖症」なのです。
現代の日本には食べものがあふれていて、一見栄養は満ち足りているようにみえます。しかし、実際には食べものに含まれる栄養素の量が減少しているので、ほんとうに必要な量の栄養素はとれていない人がほとんどです。とくに白米や白パンなどの精製された食品や加工された食品は、カロリーだけは過剰なほど高いのに、体を作ったり機能させたりするために必要なタン白質やビタミン・ミネラルなどの栄養素はほとんど入っていない、といっても過言ではありません。毎日お腹いっぱい食べていても、実際には栄養はちっとも足りていないのです。私はこれを「隠れ栄養失調」と呼んでいます。
私たちの体がほんとうに必要としている栄養素の量は、厚生労働省がさだめている必要栄養所要量よりも、実際には数倍〜数百倍多いといわれています。ということは、現代人のほとんどは「隠れ栄養失調」だと考えられます。
ふつうに食べていても栄養(カロリーのことではなく、タン白質やビタミン・ミネラルなどのことです)が足りをいのに、そこでまちがったダイエットや断食などをおこなってしまったら、どうなるでしょう? 当然、強い栄養失調を起こします。これを「隠れ栄養失調」を超えた、「隠れ飢餓状態」と呼ぶことにしましょう。
とくに「隠れ飢餓状態」になりやすいのは、成長期のダイエットです。日本ではスリムを女性がもてはやされているため、いまは中学生や小学生のときからダイエットをしている女の子がたくさんいます。多くの場合は、ダイエットをしようと思っても、目的の体重になる前に食欲に負けてしまい、体重を激減させることはむずかしいものです。ですが、ゆりさんのように意志が強かったり、強迫観念などなんらかの病的な心理状態が存在する場合、食欲という本能に逆らって、食べずにいることを続け、無理なダイエットに成功してしまいます。拒食症はこれが極端になった状態です。そして結果的に、極度の栄養失調におちいってしまうのです。
やせたくてしかたない若い女性のみなさんは、「栄養失調なんてどうでもいいし、やせられればいいのよ!」と思っているかもしれませんが、これは明らかにダイエットの方法としてはまちがっています。残念ながら、間違ったダイエットをおこなうと、体に負担がかかるため、あとで必ず「ツケ」がまわってきます。そのツケのひとつが、「過食」を引き起こすということです。
過食症までいかなくとも、多くの人が、ダイエットをしようとして食事制限をしたあとに、反動で過剰な食欲にみまわれた経験があると思います。拒食症はもちろん、無理なダイエットや断食、胃腸の病気などで、いったん強い栄養失調、つまり飢餓状態におちいると、体は危機感を感じます。このまま食べものが手に入らなければ飢え死にするかもしれない、と体が認識すると、生き延びるための生存本能がはたらきます。すなわち、食べものを強く求めるようになるのです。つまり、栄養素を手に入れようとする体の自然な反応として、過食になるのです。
以上、抜粋終わり
上記のように、
摂食障害は
安易なダイエットが
原因で発症しているケースがかなりあります。
心理面ばかり指摘されていますが、
こういケースは心理とは関係なく、
機能不全なので、
違うアプローチが必要です。
何が原因で始まったのかを、
よく見極めてください。
上記の続きは次回になります。