うつ病からの脱出ー脳内神経伝達物質にはこんな栄養が必要ー

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今回は脳内神経伝達物質にはこんな栄養が必要というテーマでお伝えします。

著書『うつは食べ物が原因だった!』から下記抜粋します。

血液脳関門は脳のバリア

脳のバリアを通過できるもの、 できないものがある

体に必要な栄養素と酸素は、毛細血管を通って各部に運ばれます。脳も同じですが、脳の毛細血管には他の組織とは違うシステムがあります。それが「血液脳関門」です。

脳の毛細血管の壁の細胞は隙間が狭くなっています。そのため入れる物質と入れない物質があるのです。つまり、脳にとって不要なもの、害のあるものは、血液脳関門によって、脳への侵入を阻止されているというわけです。この脳のバリアが阻むのは、〝脳の組織や機能に作用する物質〞と考えればいいでしょう。

では、脳に作用する物質の調達はどうするのかというと、アミノ酸やビタミン、ミネラルといった材料の形で通過させ、脳内でつくるのです。なかでもアミノ酸が血液脳関門を通るには、アミノ酸トランスポーターという運搬役が必要です。

血液脳関門を通過できるアミノ酸は3グループに分かれており、それぞれ運搬役が決まっています。

たとえばセロトニンの原料となるトリプトファンは、バリン、ロイシン、イソロイシンというアミノ酸と同じグループです。グループ内で比率の高いアミノ酸が、優先的にアミノ酸トランスポーターに乗って血液脳関門を通過できるしくみになっています。つまり、トリプトファンを脳に入れたいのなら、トリプトファンを増やすか、バリン、ロイシン、イソロイシンを減らせばいいわけです。

一方で、血液脳関門を素通りできる物質も存在します。それが薬や抗うつ剤、アルコール、ニコチン、カフェインなどです。これらは本来体内に取り入れられるようデザインされていなかったため、血液脳関門 を通過できてしまうのです。

 

「甘い物をとればセロトニンが増 える」の落とし穴

「甘い物を食べるとイライラがおさまる」とよくいわれます。

確かにそうなのですが、実はそこには大きな問題があるのです。

このとき関係している脳内神経伝達物質はセロトニンです。セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸をもとにつくられます。

甘い物をとることで血糖値が上がると、 インスリンが分泌されます。すると、バリン、ロイシン、イソロイシンが減り、トリプトファンの比率が上がるのです。その結果、トリプトファンが優先的に血液脳関門 を通過し、セロトニンが合成されるというわけです。

しかしこれは瞬間的なことで、継続的にセロトニンがつくられるようになったのではありません。さらに甘い物をほしくなる、 血糖値の上下が激しくなることにより自律神経に悪影響が出る、というデメリットもあります。

甘い物でイライラがおさまるのはあくまでその場しのぎと考えてください。

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脳内神経伝達物質にはこんな栄養が必要

神経伝達物質はたんばく質からつくられる

すでに述べた通り、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、GABAといった神経伝達物質の材料はおもにたんばく質です。

食事でとったたんばく質は、消化管を移動しながら、消化酵素で分解され、アミノ酸になって脳に送られます。脳内にはL-グルタミン、L-フェニルアラニン、L-トリプトファンの形で入ります。

それからさらにいくつかの反応を繰り返して、神経伝達物質につくり変えられていきます。

次ページのL-グルタミン酸からGABAに変わるところを見てください。グルタミン酸は興奮系の神経伝達物質。それが抑制系の神経伝達物質であるGABAに変わっています。

つまり、興奮系のグルタミン酸が増えると、同時に抑制系のGABAも増えて、バランスをとるということです。

この絶妙な〝バランス感覚〞は、脳の神秘というしかありません。ところが、実際にはこれが十分に活かされていない、グルタミン酸からGABAに変わる反応がうまくいっていないケースが多いのです。

興奮系が増えるのに、抑制系がつくられない-これは緊張感が続き不安やイライラを感じたり、けいれんを起こしやすい人に多く見られます。興奮系が強く、抑制系が足りないために、これらの症状が起きるのです。

また、セロトニンも不足しがちな神経伝達物質です。気持ちを鎮め、落ち着かせる作用があるセロトニンは、スムーズに睡眠に入っていくためにも不可欠です。

ところがGABA同様、これがうまくつくれない人が多いのです。

セロトニンは、睡眠を司るメラトニンに変わりますから、セロトニン不足は、そのままメラトニン不足となります。その結果、うつの初期症状である睡眠障害につながっていくことにもなるのです。

 

こんな栄養素も合成にかかわっていた

このように神経伝達物質の合成がうまくいかない原因のひとつは、ビタミンB6の不足です。図を見ればわかるように、ビタミンB6は随所で反応にかかわっています。 L-トリプトファンからの流れで、5-HTPからセロトニンに変わるところ、L-フェニルアラニンからの流れで、L-ドーパからドーパミンに変わるところ、L-グルタミンからの流れで、L-グルタミン酸からGABAに変わるところ……神経伝達物質がつくられる過程で、ビタミンB6が果たす役割がどれほど大きいかは一目瞭然です。

〝原材料〞であるたんばく質を十分にとることは大切ですが、同時にビタミンB6もたっ ぷりとらないと、神経伝達物質への移行はスムーズにおこなわれません。そのほかにも、 さまざまな栄養素が神経伝達物質の合成にかかわっていますが、栄養が足りていないと、そこで合成がストップしてしまうのです。

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以上、抜粋終わり

脳には血液脳関門という機構があるのですが、

この機構のおかげで脳には悪い物質がいかないようになっています。

しかしこの関所のようなところを、

突破してしまうのが、

薬やアルコール、カフェイン、ニコチンなどで、

中毒性のあるものなのが、

やっかいなところです。

だからなるべく摂取しない方がいいわけです。

神経伝達物質に重要なのがビタミンB6ですが、

そんなのあまり意識してませんよね。

でも重要な栄養素なので、

普段の食事でビタミンB6が入っている食べ物も、

積極的に食べるように心掛けましょう。

 

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