うつ病からの脱出ー私の実践する「精神症状」対応策 4-

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今日は第4弾です。

著書『精神科は今日も、やりたい放題』から下記抜粋します。

東洋医学(漢方や鍼灸治療)の利用について
 私自身は精神薬の禁断症状や離脱症状緩和に対して、また精神症状そのものに対して東洋医学を好んで使っている。東洋医学を利用するメリットとしては以下のようなことがあげられる。
①精神薬に比べ副作用がかなり少ない。
②東洋医学の得意分野と西洋医学の得意分野が異なり、精神薬や他の西洋薬(たとえば抗ガン剤)の副作用対策に使用できる。
③漢方は味覚、嘆覚にも訴える。これはプラセボ効果としても期待できることを意味する。
④病名がつけづらい状態の患者にもためらいなく使用できる。

 まず大前提として押さえておくことは、精神薬を複数飲んでいる状況で漢方を追加したり、東洋医学の効果を期待することは「ムダ」であり、焼け石に水であると知ることである。
 漢方薬は効能の弱い物質なので、薬漬けの状態ではほとんど効かない。多量に授与されている場合、まず精神薬自体を減らすことに留意しなければいけない。
 次に、禁断症状や離脱症状の緩和に用いることがあるが、この禁断症状に対して漢方は、若干改善させるくらいが関の山であることも、あらかじめ理解しておく必要がある。
 漢方は神の薬でもなんでもないのである。どんな禁断症状も完全に消すことなどできないのであり、禁断症状なしで減薬断薬を考えるくらいなら、最初から薬を減らさないほうがましだと思わねばならない。だからこそ精神薬を使ってはいけないのだということを知らねばならないのである。

漢方の副作用について
 まず最初に知っていただきたいのは漢方に副作用という概念はもともとなかったということである。漢方では現代の副作用に当たるものを誤治と呼んだりする。
 合わない薬を授与した結果不都合が起こるということで、本人に合うものは体が必要としているため副作用など出ないという考え方だ。
 この考えは妄信すると危険もあり、現代医学的なアレルギーなどの考えもあるため全面的に採用するわけにはいかないが、一面的には間違っていないと思う。
 患者の訴えや体質を考慮すればより副作用は減るということをまず理解していただきたい。その上で副作用であるかどうかを考慮する。発生頻度は内科などの一般薬と比しても少ないがゼロではない。飲んで何か不都合な症状が出現していないか、本当に飲んでから出てきた症状なのか評価することが重要である。
 以下に副作用を起こしやすい漢方生薬とその副作用の症状をあげる。

・甘草…‥むくみ、血圧の上昇。甘革は、鎮痛、消炎効果があることから漢方薬の多くに含まれているため注意が必要。
・大貴…・腹痛、下痢、食欲不振。体力がない人は副作用が出やすい。
・柴朝、黄ごん…‥間質性肺炎の原因になりうるとされている。インターフェロンとの併用は禁忌である。
・地黄…・胃のもたれ感。胃が弱い人には投与しないことと含有の漢方処方は食後飲ませること。
・麻黄…・食欲不振、多汗、不眠、動悸。重症の心臓病の人の場合、悪化する恐れがあるので注意が必要。
・附子…・熱感、ほてり、発汗、しびれ。代謝をあげる生薬なので元気な人には禁忌である。
麻黄、附子については本書に示した処方には入っていない。ただ葛根湯など有名な漢方処方にも入っているため漢方をよく利用する人は注意していただければ幸いである。
代表的な漢方としては以下のようなものがある。

◎柴胡加竜骨牡蛎湯
対人恐怖、視線恐怖、人からどう思われているかという不安、記憶力過剰や過敏性に伴うフラッシュバック、タイムスリップ現象、さらにそこから進んだ自生思考的幻聴、聴覚過敏に伴う不眠等に用いる。
ツムラのものは下剤が入っておらずクラシエのものは少量下剤が入っている。それぞれ便の状態に応じて用いる。

◎柴胡枯枝乾萎湯
具体的には冷えがより強い人、胃が弱い人、うつ兆候の人、寝汗をかく人などの恐怖、不安、不眠、フラッシュバック、幻聴に用いる。

◎抑肝散(加陳皮半夏)
衝動、攻撃性、妄想、強迫観念や強迫行為の緩和。月経前症候群のイライラ、衝動性。小児全般の衝動的行動、ひきつけ。これらに伴う不眠などに用いる。
また怒りは関係なくても筋肉のふるえ、緊張に使うため、離脱症状やアカシジアに対しても用いることができる。抑肝散加陳皮半夏はこれらを伴うが胃腸が弱い人に用いる。

◎甘夏大束湯
不安、緊張、ひきつけ、感情漏出、フラッシュバックに伴う悲哀的感情、パニック、男性依存、買い物依存、薬物依存やそれをコントロールできないときの感情などに用いる。漢方の中では頓服として使える数少ない処方である。

◎桂枝加竜骨牡塙湯
紫朗加竜骨牡蛎湯と同じ竜骨牡蛎系だが、桂枝(シナモン)が基本のため体力が弱い人に用いる。柴胡桂枝乾姜湯に近い感覚だが以下の状態において紫朗桂枝乾姜湯より使いやすいため区別して用いる。基本的な症状が動悸、不安、緊張、不眠などであることには変わりないが、性的精神症状、性欲克進や性欲減退などある場合、フラッシュバックや悪夢の繰り返しなどがある場合、月経周期に開通してフラッシュバック、性的問題が増す場合などに使いやすい。

◎補中益気湯
体力が普通でも食欲や気力が落ちている場合は用いてよい。
この処方はうつなどに伴う種々の症状、起立性調節障害、虚弱体質、貧血に伴う体力の増強に用いる。精神科以外でも頻用される漢方である。抗うつ薬と作用機序が違い躁転しにくいので抗うつ薬からの切り替えに用いることができる。

◎香蘇散
気分の落ち込みに用いるが落ち込みというよりもともと内向的、人見知りするようなタイプの人に用いる。体力的に弱い人が多い印象であり、胃薬にもなっていてSSRIの副作用を緩和することができるため併用しやすい漢方の一つである。砕いていえば「どよーん」とした感じの落ち込みを「スーッ」と晴らすような処方である。

◎加味道道散
月経前精神症状や更年期障害に伴う神経症状、月経症状に伴う不安、イライラ、強迫観念、動悸、胸部症状などに用いる。胸がざわざわして締め付けられる感じがあり、時にのぼせ、動悸するといった、神経質でいろんな症状を訴え心気的である人に用いやすい。

◎桃核承気湯
より体力があり便秘するものに用いる。のぼせ、怒り、衝動性が強いほど使いやすく、便通を一日一〜二回になるよう量を調節する。抗うつ薬や抗精神病薬は便秘しやすく女性ホルモンのバランスを狂わせることが多いため、その副作用を改善させながら月経前症状を改善させる上で常に考慮すべき処方である。
月経精神症状の操、衝動性、強迫観念や依存、摂食障害、パニックなどに用いる。

◎通導散
ほとんど桃核承気湯と使い方は同じであるが理論上、通導散のほうが精神に対する生薬は多い。
桃核承気湯はのぼせや怒りが強いとき、月経に伴う身体症状が強いときなどに選択し、通導散は他の精神症状が強く胃の症状を呈したりするときに選択する。うまくいかなければ入れ替えればよい。便通は通導散のほうがつくことは多いが、出すぎたり下痢したりすることに注意しなければならない。使うべき症状は桃核承気湯とほぼ同じである。

◎柴胡桂根湯
漢方として非常に応用のきく処方であるが、その分使い方が難しい。基本構成として小柴胡湯と桂枝揚が混ざった処方でありその両方の特性を持っている。ただその使い方を説明するためには古典的な東洋医学思想を説明しなければならずかなり難解となるためここでは割愛する。
柴胡種板湯を使う基本的な症状は頭痛、目の疲れ、肩や首のこり、関節痛、腹痛、発熱(もしくは発熱が繰り返し起こるような感覚)などであり、体力は普通からやや落ちる人に用いる。

◎桂根加荷薬湯
この処方は過敏性腸症候群や術後腹症などに使うお腹の基本処方である。小建中湯はこの処方に飴をまぜ元気が出るよう工夫された処方であり基本は変わらない。お腹が弱く虚弱体質な人には小建中湯を用いるわけである。過敏性腸症候群に用いる場合、下痢便秘交代、腹痛、腹部膨満感を参考にする。下痢型の過敏性腸症候群の場合は半夏潟心湯が第一選択である。

◎半夏厚朴湯
この処方は俗にいうヒステリー球(梅核気)に用いる基本処方である。体力的には弱いことが多く、うつうつとして不安を伴い喉に何か詰まった感じを訴える人に。
胃にやさしく吐き気を抑える作用もあるため、香蘇散同様抗うつ薬の副作用を軽減、併用しやすい。

◎釣藤散
抑肝散を使うようなイライラ、強迫性を持ちながら主症状が頭痛である人に用いる。
体力的には幅広く使用することができ、通常の頭痛にとどまらず、てんかんなどに伴う頭痛に、また老人の認知症に用いられることもある。

◎加味帰脾湯
補中益気湯と同じょうな処方構成だが若干精神生薬が加わっているため、不安、気力、体力低下、不眠などを伴う症状に用いる。じっくり上記症状を改善させていきたいときに根気よく用いる漢方である。老人や女性に用いやすい。
不眠に対する基本処方である。しかし残念ながら睡眠作用は西洋薬の睡眠薬と比すれば、かなり弱いといわざるを得ない。体力的には弱め、軽症不眠で睡眠薬を試すかどうか迷っているときに導入として使用してみるのがよいと思われる。即時的効果もないため、じっくり睡眠状態を改善させていくことしかできないのも睡眠薬としては難点であるが。

以上、抜粋終わり

東洋医学は精神疾患にはきわめて有効だが、

しかし問題は本当に東洋医学の治療をしている治療家が極めて少ないということだ。

まず漢方に関してい言えば、

私は漢方の専門家ではないが、

本当に漢方の勉強をして、

処方できる先生はほとんどいない。

何故なら日本に専門的に教える教育機関がないからだ。

薬学部で少しあるようだが、

恐らくかじる程度であろう。

今の日本では専門的に勉強できるところはないので、

中国で学ばられてこられている方も結構多い。

あと日本の古典勉強会で勉強されている方もおられるようだ。

医者でも勉強されている方はおられるが、

ほとんどの方は西洋医学的解釈で、

ツムラの漢方薬のようにすでに調合済みの薬剤を処方している。

これはどういうことかと言うと、

それぞれの漢方薬の症状別に利く特徴を利用して、

症状によって処方するやり方である。

鍼灸で言えばツボ療法みたいなものである。

しかしこれでは当然処方された漢方薬が合わない人も出てくる。

何故なら本来その人の身体の状態を診察し、

診察によって診断を決め、

その診断名に合わせてそれぞれの薬草を、

その人の体にあった量で、

調合処方されるものなのだが、

その人がもし診察により、

違う診断名になったら、

違う薬を処方することになる。

この診断をすっ飛ばして、

薬だけを処方するのであるから、

当然診断誤りによる誤治ということが発生する可能性があるからだ。

だからもし漢方を服用したいのであれば、

きちんと東洋医学的診断を行い、

自分にあった調合をして、

処方してくれる医者や薬剤師にお願いしないと、

本来の漢方の効果を発揮することはできない。

それから漢方薬は西洋医学の薬と違って、

飲んですぐ効果が出るものではない。

少なくとも症状にもよるが、

数ヶ月はかかると考えてもらいたい。

何故なら体質改善から行っていくので、

時間がかかるのだ。

それにあなたの病気は突然なったものではない。

時間をかけて、

自然治癒力が限界に達したとき、

症状としてあらわれてくるので、

あなたは気付かなかったのかもしれない。

だから回復にもそれなりの時間がかかるということだ。

そのことを理解していない人が多い。

それともう一つ、

病気を作った原因は、

あなた自身にあるということだ。

その原因とは、

あなたの生活習慣から発生したものである。

あなたの考え方。

毎日の食事。

身体の使い方。

これらのどこかに問題があったから病気となってしまったのであり、

決して他人があなたを病気にさせたわけではない。

そのことを理解していないと、

被害者のように感じ、

病気の治療を他人任せのようになってします。

なぜなら病気を起こしたのは他人に原因があるのだから、

他人が治して当たり前と考えてしまうからだ。

しかしこのような考え方では決して治らない。

なぜなら病気なのはあなた自身で、

あなたが自分で積極的に治そうとしない限り、

誰が手を尽くしても他人任せでは治らないからだ。

だから自分自身で原因を考えて、

どうすれば治るかを調べ、

真剣に考えてほしい。

手段は幾通りもあるので、

どれを選択するかはあなた自身に委ねられている。

自分が積極的に治そうとした時、

始めて病気は治る過程に入り出すのだ。

そしてひょっとしたら奇跡も起こるかもしれない。

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