うつ病からの脱出ー私たちは食べたものでできているー

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今回は私たちは食べたものでできているというテーマでお伝えします。

著書『うつは食べ物が原因だった!』から下記抜粋します。

分子整合栄養国学の考え方

私たちの体は60兆個の細胞でできています。その細胞がそれぞれの機能をしっかり果たすことによって、体は健康に保たれ、生命が維持されているわけです。では、細胞をつくっているのは何でしょう?たんばく質や脂質、糖質などの栄養素です。

栄養素の供給源は、もちろん、毎日の食事です。食べたものによって細胞はつくられる、つまり、私たちは生命を維持しているのです。この考え方を前提としているのが「分子整合医学」です。

分子整合医学では、適切な食べ物を適切な量、適切なバランスで食べていたら、細胞は元気に働き、体も適切(健康)な状態 になる、と考えます。それをもとにして生まれた療法が「栄養療法」、正しくは「分子整合栄養療法」(オーソモレキュラー療法)と呼ばれるものです。

うつとかかわっているのは脳の神経細胞であると先ほど述べました。脳の神経細胞も、必要な栄養素(食べ物)を供給することによって、細胞の組織が生まれ変わり、症状が改善していきます。

 

新療法を確立させた2人の博士

分子整合栄養医学という、それまで医学界になかった考え方を提唱したのは、ライナス・ポーリング博士です。ノーベル賞で化学賞、平和賞の2つを受賞している博士は、病気の予防、治療の効果を高めるには、体を分子(細胞)レベルで考える必要があることを唱え、ビタミンをはじめとする栄養素を使った予防、治療の有効性を訴えました。

しかし、当時の医学界はそれを受け入れず、猛反発と轟々たる非難を博士に浴びせたのです。そんななかで、ポーリング博士と同じ視点を持っていたのが、カナダの精神科医であるエイブラム・ポッファー博士でした。

生化学分野の博士号を持つホッファー博士は、常々、体にあらわれている症状は、分子で構成されている体のなかの物質が、何らかの変化をきたすことによって起きている、と考えていました。ガン患者の精神疾患の治療にもあたっていた博士は、精神疾患も脳内で起きている生化学的な変化によるものではないか、という仮説を立てたのです。その証明のための研究を重ねた博士は、ついにナイアシン(ビタミンB3 )を中心とした栄養素を投与する治療(栄養療法)が、統合失調症に効果を上げることを確認。論文として発表しました。

それを受けて、自分の考えにさらに確信を得たポーリング博士は、分子整合栄養医学を提唱するにいたるのです。ちなみに、 分子整合栄養医学という言葉がはじめて登場したのは米国の権威ある雑誌『サイエンス』誌上でした。

こうして生まれた栄養療法は、精神疾患 だけでなく、ガンやアンチエイジングにも生かされています。

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栄養療法の血液検査は ここが違う!

栄養療法は、まず血液検査で体の栄養状態を知ることからはじまります。一般的な健康診断でも血液検査はおこないますが、 栄養療法のそれは検査項目の数がまったく違います。

たとえば、通常の検査では、赤血球の数やヘモグロビンの濃度から貧血、すなわち鉄欠乏という判定を下します。一方、栄養療法の血液検査では、血液のなかに溶け込んでいる鉄量の測定、肝臓などにストックされている貯蔵鉄の量の測定……といったことまでおこないます。このように多項目にわたってチェックす ることで、貧血という症状があらわれる前に、体で起きている鉄欠乏が発見できるのです。

胃の状態も血液検査からわかります。栄養療法では、消化・吸収の機能が正しく働くことが極めて重要になります。その判定、あるいはピロリ菌の有無なども、チェック項目になっています。といっても、採取する血液の量は20cc程度ですから、通常の検査と負担は変わりません。

2時間糖負荷検査では わからないことがある

もうひとつ重要なのが糖負荷検査です。血糖値とインスリンの量は食事をすると変化します。そこで、検査用のブドウ糖液を飲み、食事をとった状態にして、データをとるのがこの検査です。

通常の糖尿病の検査でも、2時間糟負荷検査はおこなわれます。しかし、これでは 不十分なのです。2時間糖負荷検査では、12時間絶食した空腹状態で、ブドウ糖の入ったジュースを飲み、50分おきに4回採血して、それぞれの血糖値とインスリンの量 を測るのですが、糖尿病を発見するには有効でも、自律神経系の異常やそれが引き起こしている精神疾患などは見逃されてしまうからです。

私のクリニックでは、さらに細かいデータを集めるために5時間糖負荷検査を実施しています。食事によって栄養素が体内に取り込まれると、代謝のために体のさまざまな機能が動き出します。その過程で起きる変化は2時間にとどまりません。

たとえば、2時間を過ぎてからインスリンが大量に分泌され、血糖値が急に下がるということもありますし、さらに時間が経過した3時間後にもっと血糖値が下がって、 低血糖状態になるということもあるのです。

2時間後にも大きな変化が起きているとすれば、そこから自律神経異常、つまり、血糖の調節異常があることが判定できます。 血糖値がうまく調節できないことは、精神疾患にもつながっていきますから、その見極めは非常に重要です。うつに対応すると いう視点からいえば、5時間糖負荷検査は 不可欠といっていい、と思います。

こうした検査は、栄養療法を効果的にすすめるうえでの前提になります。それなしには的確な栄養療法は不可能なのです。

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以上、抜粋終わり

現在5時間糖負荷試験をしている病院は、

まだ極めて少ないようで、

なかなか探すのが大変です。

でもうつ病の中の人には、

かなり低血糖症の方もおられるので、

一度検査してみるといいのではないかと思います。

なぜならうつ病の治療と、

低血糖症の治療では、

治療が変わってくるからです。

病態を把握する上でも、

必要な検査だと感じています。

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