うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 7ー

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今回は同テーマの第7弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

③それ以上の多剤療法の場合

これ以上の多剤療法の場合、組み合わせは無数にあるためすべてを示すことは不可能です。というより、これまでの組み合わせや例でさえ網羅できていませんから、本質や基本を把握することこそが重要です。それが理解できていれば、どのような処方であっても原則にしたがって減らしていくことができます。

ここでは8種類の処方であるジプレキサ、ドグマチール、レボトミン、パキシル、アーテン、ハルシオン、リーゼ、ベンザリンという組み合わせについて検討してみます。

(ジプレキサ20㎎+ドグマチール300㎎+レボトミン25㎎+パキシル20㎎+アーチン4㎎+ハルシオン0・25㎎+リーゼ15㎎+ベンザリン10㎎の場合)

まずこの処方を見たときに、何を考え何から減らしていくべきでしょうか?

やはり最初は抜きにくい薬がどれか、抜いたときに強い禁断症状が出る薬はどれか、相互作用の強い薬がどれか、同系統の薬はどれだけ入っているか、を考えねばなりません。

まずは抜きづらいメジャートランキライザーですが、この処方には3種類も入っています。よってこれを1種類にすることが目標です。

次にパキシルです。これが非常に重篤な禁断症状を呈し、相互作用が強く抜きにくい薬であることは説明してきました。よってこれも早く抜かねばなりません。ジプレギザも同様に、早く整理するべき薬(特にこれだけ多い場合は)と考えます。

基本方針としては、

・ジプレキサとパキシルを優先して抜いていく。

・アーテンはジプレキサの量と錐体外路症状の具合に応じて抜く。

・ベンゾ系は後回しにする。

・ジプレギザを減らしている間も減らせるならドグマチールも抜き整理を目指す。

・レポトミンもしくはドグマチールのどちらかでメジャートランキライザー1種類、抗うつ薬なし、抗パ剤なし、残りはベンゾ系という状態を目指す。

繰り返しますが、表示している滅薬量が絶対ではありません。多剤療法の場合、強い禁断症状が出るときを除いて、比較的スピードアップしてもかまいません。また最初の多い段階では2種類の薬を同時に減らすことも考えます。

これを続け、まずは当初の目標どおりジプレキサ、パキシル、ドグマチールなどを減量し、メジャートランキライザーの量に合わせてアーテンも減薬していきます。これがうまくいったと仮定すると、次はパキシルを抜きます。2・5㎎ずつ減らすか、これまでの禁断症状があまりなければ、他の薬も多いので5㎎からゼロに進んでもかまいません。

次はジプレキサに進みます。私流ではジプレキサが最も抜きにくい薬ですから、ここでも慎重に抜いてください。もしこのスピードがゆっくりすぎると感じるなら、減薬スピードを速めるのではなく、まわりの薬も同時に少しずつ減薬することで時間を短縮します。

仮にジプレキサがやめられたとすると、aのような処方になっていると思います。

ここまでくれば次はメジャートランキライザーの単剤化、アーテンの断薬を目指します。途中で少しベンゾ系の減薬を入れてもかまいませんが、ベンゾ系はやはり残るように意識します(b)。

メジャートランキライザーを減量して、アーテンを錐体外路症状に合わせながら断薬します。ここでドグマチールをやめてもいいのですが、急だと感じる場合はベンゾ系を少しはさみます。

ここまでくれば目標はレポトミンとリーゼとベンザリンにすることが目標であり、この3種類の状況は、すでに1種類+2種類の組み合わせになっているので、そちらを参考にすればいいでしょう(c)。

 

多剤療法には無限の組み合わせがあり、こうであるという正解を提示することはできません。薬理学を駆使してもどちらの薬を優先すべきという答えが出るわけでもありません。禁断症状の何を重視するかによって、順番は変わってくるからです。

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つまり最後は医師とのコミュニケーションと、当事者や家族が自分で考え選択することです。それを忘れないでください。

薬害にあったら……100%回復しない理由

禁断症状や後遺症について話すとき、残念ながらいつも最後はこの話になりますが、 向精神薬で何らかの害をこうむったとき、その機能が100%元に戻ることはありえません。どんなに戻っても80%や90%であり、以前を望んでも満たされることはありません。

これは覚醒剤や麻薬をやってしまったら、失われた機能が全部回復しないのと同じことです。だからこそ向精神薬は罪深いのだということをまず理解してください。これを指摘するとみな非常にショックを受けられます。そんなことはないと認めない人、安易な「元に戻る」という意見を信じてしまう人もいます。しかし私が伝えないと伝える人がいません。

もし100%回復という奇跡を起こしたいのなら、私よりさらに詳しく勉強し、奇跡を起こしてくれることを期待します。それはありえない話ではないでしょうが、医学ではありえないという話なのです。よくテレビなどで見られる奇跡にも医学が貢献することなどまずありえません。

 

そしてもう一つ、最後は意志や根性も大事です。どれほどに勉強しうまく禁断症状を消そうと試みても、必ず出てきますし後遺症は残ります。繰り返し述べますが、禁断症状で体がつらい状況でも、さらに先に進むしか向精神薬地獄を越えるすべはないのです。

 

以上、抜粋終わり

今回でこのテーマは終了です。

参考になったでしょうか?

減薬、断薬はくれぐれも無理のないやり方で、

行うようにしてください。

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