うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 5ー

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今回は同テーマの第5弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

【I:抗うつ薬+抗不安薬(またはムードスタビライザー)+睡眠薬の場合】

おそらく日本において最も多く出されるパターンではないでしょうか?

気分を上げながら不安も抑え、寝ることにも貢献していると言い張るわけです。しかしこの処方をされた瞬間に、精神医療地獄から逃れることはできません。その概要はこれまでにも説明してきましたが、より深く理解されることを願います。

相互作用については抗うつ薬+抗不安薬(またはムードスタビライザー)と大きな違いはありません。ただこのように種類が増えてくると、どれを優先的に減らしていくかはやはり考えなければいけません。

私流では抗うつ薬から減らしていきます。抗うつ薬の計算できない相互作用と、アクチべーションシンドロームや禁断症状に伴う自傷他害行為を早めに抑えることから、そうすることが多いです。これには正解はないと思いますが、基本としては2種類の項で述べた考え方に近いです。ベンゾ系の依存は重要ではないかという人もいるでしょうし、それはそれで一理あります。

しかしこの3種の場合、私が強く推奨したいことは、抗うつ薬から抜くにしろ抗不安薬から抜くにしろ、最後は睡眠薬が残るように調整してもらいたいということです。睡眠薬だけになれば、禁断症状の多くは睡眠に限定されたものになりやすくなります。また途中でも睡眠がとれないよりはとれたほうが好都合です。いずれ禁断症状で眠れない時期はくるかもしれませんが、抗うつ薬と抗不安薬を抜く補助としての意味も込めて、睡眠薬が残るように努力してもらえればと思います。

ここでは抜きづらいもう一つの抗うつ薬であるサインパルタ、比較的抜きやすいベンゾ系薬のワイパックス、睡眠薬としては強力な部類に入るサイレースを例に出して検討します。

 

〈サインパルタ40㎎+ウイバックス1・5㎎+サイレース2㎎の場合〉

サインパルタはカプセル剤で、パキシルのように減らしづらい抗うつ薬であることを理解します。カプセルで調節しづらいことも抜きにくい要因の一つです。20㎎と30㎎のカプセルがありますので、これを活用することから始めます。

まずサインバルクの最低カプセル量を目指します。しかしこの20㎎を一気になくすのはなかなか困難です。よって自己調節するよりほかありません。具体的にはカプセルを開いて、中に入っている粉の量を調節します。正確に測るのは難しいですが、目分量で 5㎎程度ずつ減らすことを目標にします。粉を調節したらできるだけカプセルに戻します。これは40㎎から50㎎に減らすときも、禁断症状が強い場合は実行してください。つまり、40㎎→35㎎→30㎎とすることもありえます。サインパルタは副作用がとても強いためにカプセル化されているという事情もあるのです。

このように調整しながら途中でサインパルタを減らすのを休んだほうがいいと感じた場合、ウイパックスなどの減量に移行することもあります。

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ワイパックスを減らさずにサインパルタをゼロにするのももちろん一法ですが、少し減らしておいたほうが後がやりやすいかもしれませんし、交互に進む時期があったほうが、やはり抜きやすい印象があります。

このようなやり方で、ワイパックス0・75㎎(朝0・25㎎→昼0・25㎎→夜0・25㎎) +サイレース2㎎になった場合、ワイパックスを基準に減らしていきます。ここでも途中でサイレースを少し減らしたほうが、後がやりやすいかもしれません。

睡眠薬のみとなれば、この先は単剤の原則にしたがって、不眠の度合いと相談しながらサイレースゼロを目指してもらえばよいわけです。

 

【J:メジャートランキライザー+抗パーキンソン病薬+抗不安薬の場合】

基本はメジャートランキライザー+抗不安薬と同じですが、ここでは抗パ剤について書くことにします。

副作用止めとしてメジャートランキライザーに抗パ剤が出されるのはよくあることですが、これがさまざまな副作用や後遺症を残すのはあまり知られていません。よってこの減らし方も重要ですが、基本はメジャートランキライザーの量に準じて減らすことです。

ここではセレネース、タスモリン、リボトリールという組み合わせについて検討します。

<セレネース12㎎+タスモリン3㎎+リボトリール1・5㎎の場合>

この処方を見ただけで、おそらくセレネースの副作用による錐体外路症状が強く、それを無理に抑えるため抗パ剤が加えられ、ベンゾ系の中でもアカシジアなどを抑える効果があるリボトリールが足されているのだと理解します。そういうことが頭に出てこない場合、まだ理解が浅く勉強が足りないと考えてください。そして、その勉強が足りないかぎり向精神薬をやめることはできません。

最初はまずセレネースを減らしていきます。そして錐体外路症状がどの程度なのかを把握することが重要です。ここは主観になりますが、それほど強くないとするなら抗パ剤は早めに減らしてかまいません。

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逆に強く出ているととらえるなら、メジャートランキライザーがなくなるぎりぎりまで抗パ剤は残したほうがいいでしょう。ここでは後者であると仮定して減らし方を検討します。

セレネースを1・5㎎ずつ減らせたとします。そして錐体外路症状がやや軽減されてきたとすれば、そこでタスモリンを減らします。

セレネースを減らすときの後半の量は、もう少し小刻みであってもかまいません。この場合リボトリール(ベンゾ系)のみが残ることになりますが、途中一時的に減らしてもかまいません。しかしベンゾ系をゼロにすることはないようにして、メジャートランキライザーと抗パ剤をやめることを優先します。ベンゾ系のみとなれば、単剤の減らし方を参考にしてゼロを目指します。

 

以上、抜粋終わり

減薬についてまだまだ続きます。

上記の著者も言ってますが、

答えはありません。

ですので、

これを参考に自分なりにアレンジしてください。

減薬や断薬を行うときに、

理解ある医師が一緒であればいいのですが・・・

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