うつ病からの脱出ー具体的な減薬・弾薬法のケース 3ー

このエントリーをはてなブックマークに追加

今回はこのテーマの第3弾です。

著書『心の病に薬はいらない!』から下記抜粋します。

【E‥ロヒプノール2㎎を飲んでいる場合】

ロヒプノールはベンゾ系睡眠薬の中でも強力な部類でありながら、よく処方されている睡眠薬でもあります。分類としては中時間型になりますが、一、二を争う強力さと依存性を持ち合わせています。アメリカでは持ち込みが禁止されているほどです。

睡眠薬にもベンゾ系に共通した禁断症状や後遺症はありますが、それでも睡眠薬であることを考慮すれば、やはり唯一と言っていいくらい強力な禁断症状が不眠です。

これは医学的にも反跳性不眠という言葉を使います。よって不眠とどう向き合うかが睡眠薬を抜くうえでは重要になります。また睡眠薬は減薬していくうえで最後に残りやすい薬です。その意味でも睡眠薬をどうやって抜いていくか、考察することは重要です。

やり方は大きく二つに分かれます。一つはオーソドックスなやり方ですが、2㎎で2 週間、その後1・5㎎で2週間、その後は1㎎→0・5㎎、そしてゼロと進む方法です。強い禁断症状がなければこれを早めてもかまいません。

問題はなかなかやめられないときです。この場合、より細かく分割して減らしていくことになります。

たとえば「やすり」などで何十分の一というレベルで少しずつ削っていきます。このほうが最も主である禁断症状の不眠は出にくいのですが、時間がかかるのか難点です。それぞれの利点と欠点を考えたうえで選択してください。

IMG_0222

これは睡眠薬だけに言えることではありませんが、本当に薬を抜きたいのであれば、「不眠になるのは嫌」と考えながら減薬することはやめるべきです。「抜いているんだから眠れなくて当たり前」という感覚でいましょう。

向精神薬はそもそもが麻薬などと変わりなく、それを抜くことには多大なリスクが生じることをここでも思い出しましょう。

 

②多剤の場合

【F‥メジャートランキライザー+抗うつ薬の場合】

この組み合わせは非常にひどい処方ですが、精神医学の世界では横行しています。素人が考えても、テンションアップ糸とテンションダウン系の薬を同時に出すなど理解に苦しみませんか?

それだけでなく、この組み合わせには代謝酵素の問題が関係してきます。 いわゆるCYPと呼ばれる薬物代謝酵素の問題です。CYPについてこの本で書くのは無理があるので、詳細は専門書に譲るよりありませんが、要するに薬をたくさん飲むと分解されにくくなったり、ある薬が別の薬の代謝を邪魔したり、分解してしまったりするのです。

これの何が問題かというと、特に阻害(邪魔)するような組み合わせの場合、分解されないので、薬物の濃度が飲んでいる量の何倍にもなってしまうことがありうるのです。そしてそのような組み合わせで最も悪評高いと言われているのか、通称「ジプデプ処方」、つまりジプレギザとデブロメール(またはルボックス)です。またパキシルとリスパダールの組み合わせも危険と言われています。

 

抗うつ薬の多く、特にSSRIは他の向精神薬の代謝を阻害します。最も阻害するのがデブロメール(またはルボックス)で、もう一つがパキシルです。しかし他のSSRIや抗うつ薬にも阻害作用があります。これらを考慮して減薬の作戦を立てねばなりません。次はいわゆるジプデプ処方を例に出して検討します。ここでも減らし方に絶対はありません。

 

<ジプレキサ10㎎+デブロメール100㎎の場合>

まず処方薬を飲んでいる患者さんの最初の症状に着目します。最初に精神科にかかったときの症状です。

これが神経症的な症状(不安や強迫観念やうつや不眠など)であるなら、ジプレギサとデブロメールはある程度協調性をもたせながら抜いていきます(a)。しかし最初の症状が精神疾患的症状(幻覚や疾患錯乱状態など)であったなら、ジプレキサを少し残すように抜いていきます(b)。ここでジプレキサを残す理由は、この薬が悪い薬であっても、無理やり精神病的症状を鎮静させる作用があるからです。もちろんやめることを目標に行っていきますが、最初に出た症状が出る可能性を考慮して抜いていきます。

bの場合、ジプレキサ5㎎程度のときには、デブロメールはなくなっているでしょう。 逆にでaあれば、ジプレギザが2㎎とか1㎎のレベルくらいまで、デブロメールが残っているように調整して抜きます。これは必ずこのとおりでなければいけないわけではありません。ハイテンションになるのか怖い病歴であれば、優先してデブロメールを先に抜いてしまうこともあります。あくまでも原則的な私流であることをご理解ください。

IMG_0223

また経過はいかなるものであれ、デブロメールは相互作用に重要な影響を与えますので、できるかぎり先に抜くのは共通します。そして相互作用がない状態に達してから、単剤の抜き方にあるように、ジプレキサを抜いていく、これが基本的なやり方になります。

 

以上、抜粋終わり

参考になっているでしょうか?

次回も続きます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です