今回は同テーマの第3弾です。
著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。
口大人も子どももキレやすい理由
このようなはたらきをするため、アドレナリンは「闘争か逃走か(Fight or Flight)」のホルモンと呼ばれています。
低血糖症では、血糖値を上げるために、これらの攻撃ホルモンが本人の意志とは関係なくとつぜん大量に分必ざれてしまいます。いうなれば低血糖症は、「つねに戦闘モードに入っている状態」なのです。
低血糖症ではさまざまな症状が起こりますが、共通してみられることが多いものとして、イライラしやすい、怒りっぽい、攻撃的である、キレやすいなどの症状があげられます。これはアドレナリンによって起こる感情の変化と同じです。
たとえば、ついさっきまでふつうだったのに、空腹になると人が変わったように怒り出し、暴れたり暴力をふるったりしたにもかかわらず、なにかを食べると(とくにあまいお菓子やジュースなど)、けろっとおさまってしまうという人は結構いらっしゃいます。
月経の前にイライラして攻撃的になったり、逆に憂うつになったりしてしまう月経前症候群(PMS)も、アドレナリンの影響が強いために起こるのです。
最近増加している、青少年による攻撃的な犯罪や非行などの問題にも、これらのホルモンが深く関係していると考えられます。
このように攻撃ホルモンの存在は、人の感情や行動にとても大きな影響をあたえます。人格さえも変えてしまうことがあるのです。
□「不安」を引き起こすホルモン
また、アドレナリンは攻撃性を高めますがノルアドレナリンはその道で、不安な気持ちやネガティブな感情を引き起こしてしまいます。
パニック障害の人などが、人混みなどに行くと緊張して動悸がしたり、不安な気持ちになったり、恐怖感に襲われたりしてしまう原因のひとつは、このようなホルモンが分泌されることであるといわれています。
また、うつやパニック障害の人で、死にたいという気持ちが強くなり、リストカットなどをして自分を傷つけてしまうのも、これらのホルモンの影響が強いためなのです。
□あまいものがやめられない理由
低血糖が食欲を引き起こすことは先ほど書きましたが、ここでさらに問題になるのは、血糖値が下がったときに「なにを食べたくなるか」ということです。血糖値が下がりすぎてしまったときに「どうしても野菜や魚やお肉が食べたい!」と思うことはあまりありません。むしょうに「あまいものが食べたくなってしまう」のです。
血糖値が下がった状態というのは、とても不安定な状態です。このような状態から脱出するためには、血糖値を素早く上げなくてはなりません。
血糖値を手っとり早く上げるために、一番適した食べ物はいったいなんでしょうか? ……そう、精製された糖分です。
糖のかたちが単純であればあるほど、吸収が速く血糖値がすぐに上昇するので、低血糖状態から抜け出すには好都合です。
つまり、あまいものなどの精製された糖分を食べることによって、血糖値が下がってしまい、今度はその下がった血糖値を上げるために、また糖分が欲しくなるのです。
低血糖状態におちいり、脳のエネルギーが低下して頭がまわらなくなっていたり、カテコールアミンの分泌によりイライラして暴力的になっていたり、または落ち込んで憂うつな気分になっているところに、あまいものを飲んだり食べたりすると、下がった血糖値が上昇するので、体は一瞬ホッとします。
血糖値がある一定のレベルにもどってくると、脳が血糖という工ネルギーを安定して得られるようになり、攻撃ホルモンの分泌もおさまるので、肉体的にも精神的にも安定するのです。
糖分をとることで、「脳内麻薬」といわれるエンドルフィンが分泌されることもわかっています。
低血糖時に精製された糖質をとると、血糖値が低下して落ち込んだ不安定な状態、いうなれば「戦闘モード」から、一気に、安定した「安心モード」または「元気モード」に入ります。アメリカには「シュガー・ハイ」という言葉があるそうですが、この言葉のとおり、そのギャップが極端に大きい場合、テンションが上がって「ナチュラル・ハイ」状態に感じるくらいです。
しかし残念ながら、あまいものを食べて血糖値が上がって、ハッピーになって、めでたし、めでたし……。で、話はおわりません。下がった血糖値を上げようとふたたびとった糖質は、また新たなインスリンの分泌を引き起こします。やっと上がった血糖値がまた下がって、結果的に再び低血糖状態になってしまうのです。そしてまたあまいものが食べたくなって、またカテコールアミンが分泌されて……、という悪循環をくりかえすことになります。
つまり、血糖値が下がったからといってそこでまた単純な糖質をとることが、インスリン分泌→低血糖→ホルモンの異常な分泌、という悪循環につながるのです。
体は、低血糖状態から回復したときの「快感」を覚えています。このギャップはいうなれば、麻薬のようなものです。血糖値が下がったら糖分をとればよくなる、と体が覚えたら(本人が自覚しているとはかぎりません)、体は糖分を求めるようになります。
以上、抜粋終わり
問題は糖分がまた欲しくなるという、
中毒症状のようになってしまうところが、
糖離れが難しいところです。
普通はこれが中毒症状とは知らないのですから、
すぐに補給してしまいます。
するとまた悪循環が始まります。
ですので、
この悪循環から離脱するには、
正しい知識が必要となります。
そのために今回のテーマの低血糖症を、
参考にしてもらいたいのです。