今回は同テーマの第2弾です。
著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。
□低血糖は「脳のエネルギー不足」をまねく
血糖値が上がりやすい食べものを多く食べた結果、低血糖症になってしまうと、困ったことが起きてしまいます。
脳は基本的にグルコースしかエネルギーとして利用できない、ということは先ほど書きました。ということは、血糖値が下がると、どうなるのでしょうか?
そう、脳がエネルギー不足になってしまうのです。
脳は40秒でグルコースをつかいきってしまいますから、血糖値が短時間で急激に下がってしまうと脳にエネルギーが十分に供給されないことになってしまいます。
このような血糖値の急降下は脳のエネルギー不足をまねきます。その結果、以下のようないろいろな症状が起こります。
うつ症状
やる気がわかない
集中力低下
記憶力低下
頭の回転が鈍い
だるい
疲れやすい
眠い
ぼーっとする
etc・・・
このように、精神的な症状の原因となるばかりか、脳細胞がダメージを受けるため、高齢者の認知症の原因になることもあります。
血糖値が低い状態は、とても不安定な状態です。もし血糖値が極端に下がりすぎてしまったら、眠いとかぼーっとするをとおりこして、意識がなくなり、こん睡状態におちいります。脳細胞にエネルギーが供給されないのですから、強い低血糖状態が長く続いたら、脳が障害を受けてしまうこともあります。最悪の場合、死ぬ危険があるのです。
そのくらい、極度の低血糖は人体にとって危険な状態なのです。
□食べすぎてしまうわけ
もちろん、ちょっとやそっと血糖値が下がったからといってすぐに生命が危険な状態になるほど、人間の体はヤワではありません。ふつうは、血糖値が下がってしまったら、それに反応して血糖値を上げようとするしくみが作動します。
私たち人類には数百万年もの長い間、飢えと戦ってきたという歴史があります。このため、血糖値を下げるしくみはインスリンしかないのに対し、血糖を上げるしくみは私たちの体内にたくさんそなわっているのです。
そのひとつが、「お腹がすく」ということです。
血糖値が下がると、下がった血糖値を上げるために、「なにか食べろ!」という命令が脳から発せられます。これが食欲であり、「お腹がすいた」という感覚なのです。
もちろん低血糖症ではない健康な人でも、お腹はすきます。しかし、血糖値が限度を超えて下がってしまうと、ふつうのお腹のすき方ではなくて、尋常ではないお腹のすき方になってしまうのです。
たとえば、
いくら食べても満足できない
目の前にある食べ物をせんぶ食べきらないと気がすまない
家にある食べものだけでは足りなくて、夜中にコンビニへ走り、大量に買ってきてはぜんぶ食べてしまう
人によっては、太りたくないのでそこまでして食べたものを全部吐いてしまう
という状態になってしまうことがあるのです。
つまり、低血糖は「過剰な食欲」を引き起こし、「過食」を起こす原因になるのです。
とくに過食症の人は、「お腹がすいた!」というスイッチが入ったら最後、目の色が変わってしまい、食べることしか考えられなくなってしまいます。低血糖から脳を守るために、「食べろ!」という命令がかなり強力に発せられるからです。それにくわえて、あとに述べるホルモンの影響もあり、食べる量や内容を自分でコントロールすることができなくなってしまうのです。
口血糖値を上げる攻撃ホルモン
低血糖状態にさらされたとき、体が持っている血糖値を上げるためのしくみは、「お腹がすく」ということ以外にも、まだまだあります。
「血糖調節のしくみ」の部分でご説明したように、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありませんが、血糖値を上げるホルモンはたくさんあります。低血糖症では、下がった血糖値を上げようとして、これらのホルモンが分泌されることになります。
この中でとくにいろいろな症状を起こす原因となるホルモンが、アドレナリンとノルアドレナリンです。アドレナリンとノルアドレナリン、およびドーパミンを総称して、カテコールアミンと呼ぶこともあります。
これらのホルモン(おもにアドレナリン)は「攻撃ホルモン」と呼ばれ、おもに副腎髄質というところから、通常、強いストレスにさらされたときに分泌されます。
たとえば、シマウマなどの野生動物が草原を歩いているときに、腹をすかせたライオンにばったり出くわして、目があったとしましょう。その瞬間、シマウマは生命の危険を察知し、アドレナリン・ノルアドレナリンが大量に分泌されます。その結果、瞳孔がひらき、全身の筋肉は緊張し、血管が収縮して心拍数と血圧が上昇します。いうなればその瞬間、シマウマは「戦闘モード」に入るのです。そして、一目散にダッシュして逃げるか、または全神経を集中して戦うのです。
このように、アドレナリン・ノルアドレナリンは本来、生命の危険にさらされたとき、とっさの瞬発力を発揮して、危険から身をまもるために分泌されるホルモンといえます。
以上、抜粋終わり
どうでしょうか?
上記の表の中のような症状が出ることはないでしょうか?
もしあるようでしたら、
低血糖症の問題が隠れている可能性があります。
よく日頃の状態を振り返ってみてくださいね。