今回は同テーマの第3弾です。
著書『うつは食べ物が原因だった!』から下記抜粋します。
- ビタミン
神経伝達物質の合成に 欠かせないビタミン
血液によって脳内に運ばれたアミノ酸(たんばく質)が、神経伝達物質につくり変えられるときに、補酵素として不可欠なのがビタミンです。特にビタミンB6は、ドーパミン、セロトニン、GABAに変わる反応のすべてにかかわっています。
また、ドーパミンは興奮系の神経伝達物質であるノルアドレナリンに変わりますが、 その過程で働いているのがビタミンC。興奮系はストレスがかかったときに分泌されるのですが、十分に出るには、ビタミンC が必要量きちんとある、ということが重要です。
ビタミンCが不足すると、興奮系の神経伝達物質の分泌が不十分になり、その結果、 ストレスに対する耐性が弱くなる、という言い方もできるでしょう。 以前はビタミンB3と呼ばれたナイアシンも変化に欠かせない補酵素です。少し専門的になりますが、L-ダルクミンからⅬ-グルタミン酸、L-フェニルアラニンから L-チロシン、L-トリプトファンから5 -HTP、という変化にはナイアシンがなくてはならないのです。
また、ビタミンB群の仲間である葉酸も、 L-フェニルアラニンからL-チロシン、 L-チロシンからL-ドーパ、L-トリプトファンから5-HTPという変化の過程にかかわっています。
なお、葉酸はうつと関係していて、葉酸を摂取することでうつ症状が改善するという報告がありますし、それをテーマにした書籍も出版されています。
ビタミンCは溜められる
先ほどストレスとビタミンCの関係に触れましたが、ビタミンCについては、たくさん摂取しても意味がない、と考えている人が少なくありません。
水溶性であるビタミンCは、多量に摂取しても、尿と一緒に排泄してしまい、蓄積されないから、というのがその理由です。
ところが、ビタミンCが貯蔵され、必要に応じて供給される臓器も、実はあるのです。たとえば副腎は、高濃度でビタミンC を蓄えておけるのです。
腎臓の隣にある副腎は、多種類のホルモンをつくり出す内分泌器官です。当然、それらのホルモンのなかにはストレスに打ち克つためのものもあります。
つまり、副腎にしっかりビタミンCを送り込んでおくことは、そうしたホルモンを 働かせるためにも大切なことだ、といえます。
効果的にビタミンCをとるには、ひとつポイントがあります。
一度にたくさんとるのではなく、何度にも分けて、回数を多くとる、というのがそれです。
ビタミンCが多い食品をとるのも有効ですが、サプリメントを利用してもいいでしょう。
- ミネラル
ミネラル不足も「うつ」症状の原因に
ミネラルも、神経伝達物質の合成過程に欠かせません。たとえば鉄が不足すると、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が十分つくられず、うつ症状が出てくることが知られています。特に女性がうつ症状を訴えているケースでは、 鉄不足が原因の場合が非常に多いのです。
銅やマグネシウムも、変化の過程で補酵素になっていますし、たんばく質の合成にかかわっている亜鉛は、代謝酵素を活性化させるうえで、中心的な役割を担っています。
ビタミン同様、ミネラル不足は神経伝達物質の正常な合成を妨げ、また、バランスを崩します。それがうつ症状の発生に影響を与えるのは、いうまでもありません。
カルシウムが脳にスイッチを入れる
カルシウムは神経伝達物質が神経細胞から放出されるために、なくてはならないミネラルです。神経細胞から神経伝達物質が出るきっかけをつくっているのがカルシウム。
カルシウムイオンが、細胞膜にある扉を開けて細胞内に入ると、さまざまな酵素が活性化し、たとえば、セロトニンがつくられて放出される、という一連の流れができるのです。脳が神経伝達物質をつくり、放出するスイッチをカルシウムが入れている といってもいいでしょう。
スイッチが的確に入るためのカギを握っているのは、細胞膜の外側と内側のカルシウムイオンの濃度差です。通常、外と内の濃度差は「1万対1」程度だとされますが、この濃度差があるから、必要なときにカルシウムイオンがサッと扉から入り込める。 差が小さくなると、動きが鈍くなり、スイッチの機能は落ちてしまいます。
カルシウムとマグネシウムは“兄弟”
細胞のスイッチ機能を担うカルシウムと〝兄弟関係〞にあるのがマグネシウムです。
この2つは文字通り、「ブラザー・イオン」と呼ばれ、お互いにサポートし合って働いています。どちらかでも不足すると、サポート機能はダウンします。
カルシウム2に対してマグネシウムは1 という割合でとるのがいい、とされていますが、私はこれには疑問を感じています。なぜならカルシウムとマグネシウムは同じ比率で排泄されるからです。
つまり、カルシウム2、マグネシウム1 の割合でとれば、マグネシウムは不足してしまうのです。
食生活について「カルシウムが足りない」 ということはよくいわれますが、マグネシウムに関する指摘はほとんどされることがありません。
しかし、深刻なのはむしろ、マグネシウム不足のほうです。カルシウムとマグネシウムの兄弟は〝平等〞に「1対1」の割合 でとる。それがもっとも的確なバランスといえるでしょう。
以上、抜粋終わり
カルシウムの摂取が必要なのは皆さんご存知ですが、
意外と知られていないのが、
マグネシウムです。
カルシウムの摂取にはマグネシウムの摂取も必須です。
カルシウム単体では機能しないのです。
そのことを知っているだけで、
摂取の仕方が変わってくるでしょう。