うつ病からの脱出ー肥満・メタボリックシンドローム 3ー

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今回は同テーマの第3弾です。

著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。

柴田香苗さん(仮名) 28

柴田さんは、保育園におつとめの保母さんです。子どもの世話をするのは大変なときもありますが、子どもが大好きなので、毎日が充実しているそうです。

そんな柴田さんですが、10代のころから、太りやすいのが悩みでした。子どものころはぼっちゃり体型で、高校生のときにダイエットと運動で5kgはどやせましたが、気にしないで食べたいものを食べていると、すぐに体重が増えてしまいます。それでも20代前半までは、食べる量を少し控えて、運動をすれば、コントロールできていました。

しかし20代後半になると、なかなか思うように体重が減らせなくなってきました。

もともと冷え性で、むくみやすい体質です。ここのところとくに冷え性がひどく、電車の冷房がつらくて仕方がありません。生理痛もつらく、必ず痛み止めを何回か飲みます。むくみもだんだん強くなり、とくに月経前は夕方になると足がパンパンにむくんでしまうので、恥ずかしくてスカートがはけないほどです。気がつくと、おしりや太もも、足首にまでセルライトがついていました。汗もあまりかきませんし、運動をしても筋肉がつきづらいため、自分は代謝が悪い体質なんだ、と思っていました。

体重を気にしているため、ふだんから食事の量はセーブしています。お肉は太りそうだし、たくさん食べると体に悪い気がして、野菜中心の食生活をしています。あまいものには目がないので、たくさん食べないように心がけてはいますが、仕事の帰りに必ずひとつスイーツを買って帰り、家でゆっくりしながら食べるのが毎日の楽しみです。・

今までは、それほど体調が悪いというわけでもなかったので、体質だから仕方ない、と思っていましたが、最近とくに疲れやすく、調子が出ません。子どもを追いかけていると息切れがしたり、立ちくらみがすることがあります。駅では必ずエスカレーターを使います。お腹がすくと集中力が低下したり、気が遠くなったり、手が震えたりすることがあり、心配になってきました。そして一番いやだったのは、どんなに頑張っても体重を減らせなくなってきたことです。

体調面の心配もあり、健康になってやせたい、という希望を持って、当クリ二ックを受診されました。

【既往歴】

大きな病気:なし 月経周期:やや不順・月経痛あり

【家族歴】

祖母:糖尿病 祖父:胃がん

【初診時現症】

身長:158cm 体重:55.2kg  BMI:22.1 体脂肪率:32%

【診断】

まず、血糖値の平均を示すグリコアルブミンが12・8%と低めであり、低血糖の傾向があることがわかります。空腹時に手が震えることからも、低血糖症の可能性があります。 GOT・GPTは基準値の範囲内ですが、GPTが低値であり、 ビタミンB6の不足が疑われます。フェリチンの低値は、強い潜在性鉄欠乏があることを示しています。尿素窒素が10を下回って低いことは、タン白質の摂取量が少ないことを意味します。

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体成分検査では、BMI22・1で問題はないものの、筋肉量より体脂肪量のほうが多い、いわゆる「隠れ肥満」の状態であり、体脂肪率32%と高い状態でした。

本人が希望しなかったため、5時間糖負荷試験はおこないませんでした。

【治療】

柴田さんは、強い隠れ栄養失調であると考えられました。代謝を上げてエネルギーを生み出すためには、栄養素が必要です。柴田さんには、プロテイン・アミノ酸・ビタミンB群・ビタミンC・亜鉛・カルシウム・マグネシウム・クロミウムのサプリメントを処方しました。

低血糖症ではエネルギーが作り出しにくくなり、疲れやすくなる原因となるだけでなく、糖から脂肪をたくわえるため太りやすくなります。炭水化物を控え、お肉や卵、魚、豆腐などのタン白質をしっかり食べてもらうようにしました。あまいものは週に1回にするか、タン白質や野菜をしっかり食べたあとに、少量食べるように指導しました。

また、半身浴をしたり、体を冷やさない工夫をしてもらい、運動も定期的におこなうようにしてもらいました。

【経過】

栄養療法と食事療法をはじめてから、だんだんとパワーがついて、疲れにくくなりました。子どもたちを追いかけまわしても息切れがしなくなり、駅の階段もあがれるようになりました。ゆっくりとですが、むくみも改善してきました。冷え性も完全になくなったわけではありませんが、だいぶ楽になりましだ。手の震えはわりとすぐになくなりました。生理痛も以前に比べて楽です。

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そして、お肉や卵などの動物性タン白質もふくめて、以前より食べる量が増えているにもかかわらず、だんだんと体重が減ってきました。むくみがとれてきたせいもありますが、筋肉がついて体がしまってきたようです。

柴田さんは、以前にもまして仕事や趣味にいそしみ、毎日楽しく過ごしているようです。

血液データは、フェリチンの上昇により、潜在性鉄欠乏が大幅に改善しています。GPTの上昇から、ビタミンB6の不足が改善されつつあると考えられます。尿素窒素の上昇より、タン白質の摂取量が増えていると考えられます。まだ低血糖の傾向は若干ありますが、症状が改善しているので、血糖値は安定してきたと考えられます。

 

以上、抜粋終わり

この方も対処が早く、

栄養療法によって改善しました。

何事も早めに対処すると軽く済みますね。

たとえ病気でなくとも、

予防になるので、

さらに良い結果を出すことになります。

我々は日頃からいかに予防するかを、

考える必要があるのではないでしょうか?

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