うつ病からの脱出ー低血糖症によりおこるさまざまな症状 1ー

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今回は低血糖症によりおこるさまざまな症状というテーマでお伝えします。

著書『なぜあなたは食べすぎてしまうのか 低血糖症という病』から下記抜粋します。

低血糖症により起こるさまざまな症状

「低血糖症ではありとあらゆる症状が起こる」といわれているほど、いろいろな症状が起こります。うつ病や統合失調症など、いろいろな疾患に似た症状を示すことも多いため、「偉大なる物真似師」との異名があるくらいです。

また、「不定愁訴」と呼ばれる、明らかな病気ではないのに起こるさまざまな症状も、低血糖症が原因となることがあります。

低血糖症で起こりうるいろいろな症状について解説していきます。

 

  •   慢性疲労

低血糖症の患者さんに共通しているのは、沢木さんの例のように、「疲れやすい」、「慢性的な疲労感」です。慢性的なだるさ、朝起きられないなどの症状を訴える人が多いのです。低血糖症の人では、体を動かすために必要なエネルギーを生み出すことがうまくいかないために起こる症状です。これは無反応性低血糖症でも反応性低血糖症でも起こります。私たちにとって「もっとも使いやすいエネルギー源」である血糖値がつねに低いか、安定しないためです。

もちろん、私たちの体は、血糖以外にも脂肪やアミノ酸をエネルギーとして利用することができます。ハイブリッドカーは、ガソリンと電気という動力源を状況によって切り替えながら走っていますが、私たちの体もこれと同じで、栄養状態や体内の代謝の状況に応じて、これらを使い分けてエネルギーを得ています。しかし低血糖症の患者さんには、この切り替えがうまくいかない人が多いようです。

エネルギーを効率よく作り出すためには、いわゆるエネルギー源とよばれる糖分や脂肪分・タン白質だけでなく、それをエネルギーに変えるためのビタミンやミネラルが十分にあることが必要です。

エネルギーを生み出すビタミンの代表選手は、ビタミンB群です。低血糖症の患者さんは「ビタミン依存の体質」とも呼ばれ、そうでない人に比べてより多くのビタミンを必要とすることがわかっています。沢木さんの場合、もともと必要量が多いところへきて、消化機能の低下と食事のかたよりにより、ビタミンB群がかなり不足していたことも、疲れやすいという症状の原因であったと考えられます。

鉄も、酸素を運ぶだけでなく、細胞内のミトコンドリアというエネルギー工場で、最終的にエネルギーを作り出すために必要な栄養素です。沢木さんの場合、貯蔵鉄(鉄の貯金)を示すフェリチン値が「測定不能」の状態でした。鉄の不足はやはりエネルギー不足を引き起こし、強い疲労感や冷え性の原因となります。また、脳の中でセロトニンなどの神経伝達物質を合成するためにも鉄が必要なので、憂うつになる、やる気が起きない、だるいなどの症状を引き起こします。フェリチンは理想としては100はほしいところです。

また、血糖値が低いときには血糖は脳で優先的に利用されるため、体のほかの組織は脂肪をエネルギーに変えて利用しなければなりません。脂肪をエネルギーに変えるためにはビタミンCが必要であるため、ビタミンCの不足も慢性疲労の原因となります。

 

  •  イライラする・キレやすい

血糖値が急激に上昇することによってインスリンが多く分泌され、血糖値が急降下すると、今度は血糖値を上げようとするために、多くのホルモンが分泌されます。

血糖値を上げるホルモンには数種類がありますが、中でも低血糖症の症状を起こす原因となるといわれているのが、アドレナリンとノルアドレナリンです。

第一章の「低血糖症の成り立ち」で説明したように、アドレナリンは「攻撃ホルモン」と呼ばれ、本来戦うときに出るホルモンです。しかし低血糖症では、まわりのシチュエーションや本人の意志に関係なく、下がった血糖値を上げるためにアドレナリンが分泌されることによって、イライラする、怒りっぽい、攻撃的になる、人によっては、キレる、暴れる、暴力をふるう、などの症状が起こります。

またノルアドレナリンはその逆で、ネガティブな感情を引き起こすため、不安、恐怖、焦燥感、悲しみ、死にたい、といった感情を引き起こします。パニック障害(第2章)では、不安や恐怖感などの感情の変化とともに動悸やパニック症状が起こりますが、これには低血糖症が深く関係していると考えられます。月経前症候群(PMS)でイライラしたり攻撃的になるのもこの影響です。

子どものかんしゃくにも、これが影響していると考えられます。最近若いお母さんが、ぐずったり泣きわめいたりしている子どもの口にあまいお菓子を放りこんでいる光景をよく目にします。お腹がすいてイライラし泣きわめく子どもを、てっとり早く静かにさせるにはあまいものがいい、ということを、お母さんは経験的に知っているのでしょう。しかし、すぐに泣きやむからといってあまいものばかり与えていると、一時的には血糖値が上がって子どもは落ち着きますが、すぐにインスリンが分泌されて血糖値が下がってしまいます。そこで攻撃ホルモンであるアドレナリンが分泌されるため、子どもはまたイライラしてかんしゃくを起こし、あまいものを要求するようになるのです。これをくりかえすと、子どもは「あまいもの中毒」になり、ゆくゆくは心身の健康を害してしまいます。私たちの身のまわりにはあまいものがあふれているので、難しいことかもしれませんが、子どもにはあまいものではなく、血糖値を不安定にさせにくい食べものを与えるようにすることが大切です。

また、若者による衝動的・突発的な犯罪が増加しているとのことですが、おそらく低血糖症が多大な影響を与えていると考えられます。学校や更生施設などで、砂糖や精製炭水化物をやめ、玄米や新鮮な食材を中心とした食事に変えたら、非行などの反社会的行動が激減した、という例は数多くあります。人間の精神や行動に、血糖値や栄養が大きく関係することの証明といえるでしょう。

 

以上、抜粋終わり

低血糖症はさまざまな症状を呈しますので、

そのため、わかりずらい病気です。

どうような症状があるかを把握しておきましょう。

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